臨床心理士 切明 那々子
記事をご覧の皆さんこんにちは!臨床心理士(公認心理師)です。
外出もままならない現状ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。新しい環境に戸惑われたり、ストレスが溜まっているのに発散できなくてくすぶっていたり、不安になられている方もいらっしゃるかと思います。もしかしたら、家での時間が増えて、快適な時間を過ごしているなんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
長期戦が見込まれる現状、今回は皆さんにメンタルヘルスケアについてささやかですがなにかお伝えが出来ればと思います。
ストレスへの対処方法
まず皆さん、ストレスとはどのようなものかご存じでしょうか?嫌なことだけを指す言葉でしょうか?もちろん嫌なことはストレスなのですが、実は、良いことも悪いことも含めて、何か環境の変化や自分が「慣れる」必要のある状態もストレスになります。 つまり、結婚や出産、就職、昇進といった嬉しいことも、環境変化があるという面ではストレスとなります。
では、このストレスへの対処方法ですが、どんなものが皆さんの頭の中には思い浮かぶでしょうか。体を動かすこと?大きな声を出すこと?楽しくおしゃべりをすること?実は、有効な対処方法はやってみないと分かりません!これといったものが一つあるわけではありません。ただ、心理士としてお勧めしたいことは、いろんなバリエーションを持っておくことです。ストレスは日常の中に溢れていて、次々と新しいものがやってきます。そんな現代社会では、いろんな対処法を持って、柔軟に試していけることが大切になってきます。
ストレス対処法探しに役立つ情報
では、今回の状況ではどうでしょうか。家の中という非常に制限された環境で、自分のケアをしていくというある種無謀とも思えるチャレンジです。これまでとは異なったストレス対処法を探さないといけないという点では非常に困難な状況ではありますが、考え方を変えて、対処法のバリエーションを増やすチャンスと思うとワクワクしてきませんか?ここから先には対処法探しのミッションに役立つ情報を書いていきます。
◆どうしても不安や恐怖、怒りといった不快な感情が頭から離れないとき、それらを無理になくそうと努力をされていませんか?私たちは時々、嫌な感情を無くそうとするあまり、その嫌な感情をずーっと探していることがあります。
何かモヤモヤしたキャラクターをイメージしてみてください。実は私達は、そのキャラクターを探すために、心の中のいろんな箱や扉を開けて探しています。そして見つけて不快になって、次を探して、を繰り返すクセがあります。
ここではそれを止めて、そのキャラクターがいることは当然のこととして、見えなかったらいいかな、邪魔をしてこなかったらいいかなくらいに距離をとってみましょう。それだけで案外気にならなくなったりします。不快な感情がぐるぐると流れ始めたら、冷たい飲み物を口に含んでみたり、日常に溢れている心地よい刺激に目を向けてみたり、フッと違うところに目を向けられると楽になったりします。
最後に、もう一つ。こういった状況に対して、不安になったりイライラしたり、これまでとは異なる自分に出会うのは当然のことです。そしてきっと、何も感じていないように見えるあの人も、心の中ではそういった動揺が少なからずあると思います。それは本当に自然なことで、誰が悪いというものではありません。物事には必ず良い面と悪い面が同時に存在すると私は考えています。怒りや不安は人間関係の上では厄介なものですが、自分の身を守るためにはそれらの感情が必要な時もあります。
こういった緊急事態もわずらわしいものですが、新しいことを始めるチャンスにもなります。ぜひ、親しい人との会話を楽しみ、その中でそういった自分の感情を言葉で表現してみてください。自分の気持ちを言葉にする、モヤモヤに名前を付けることは、意外と難しくて意外と効きます。そして、新しい対処法を見つける手助けにもなってくれます。
この小さなヒントが皆様の重苦しい現実を少しでも健康に過ごす参考になれば幸いです。記事に目をむけていただき どうもありがとうございました。
2020年4月27日