皆さんこんにちは。東京ベイに勤務している臨床心理士(公認心理師)です。
大分日が短くなり、徐々に日光に当たれる時間が短くなってきていますが、ご気分はお変わりないでしょうか。実は日照時間が短くなるこの時期は、憂鬱な気持ちになりやすい時期と言われています。そこで、今回は抑うつの防止に役立てればと思い、ダメ出しをすることについて考えてみました。少しでもお役に立つことが出来ますと幸いでございます。
【自分にダメ出しをすること】
皆さんは自分にダメ出しをすることはありますか?また、お近くにそういったことが得意な方はいらっしゃいますか?私はよく自分にダメ出しをするタイプの人間なのですが、これをしていないと、なんだか自分に甘いような、自分が怠けているような、そんな不安が襲ってくるので不安への対処としてダメ出しをついしてしまいます。また、これをしないと自分が成長しないのではないかと思って、自信がないときに限ってしつこくもしてしまいます。
では、実際に自分へのダメ出しは期待するような成長効果を発揮してくれるのでしょうか。その効果について図にまとめてみました。

図は上から矢印に従ってご覧ください。まず、自分にダメ出しをすると気分が下がります。すると、不安や落ち込み等が生じて物事に集中しきれなくなり、パフォーマンスが自然とさがります。そうすると小さな失敗やうっかりミスが出現して、また自分にダメ出しをすることになります。
このダメ出しの繰り返し、何かに似ているとは思いませんか?抑うつが生じているときは、このような考えが四六時中、自然と頭の中をグルグルと回っている状態になります。では自分にダメ出しをすることは良くないことなのでしょうか。いえ、決してそうではありません。何事にも良い面と悪い面があって、バランスをとっていく必要があります。この場合は、ダメ出しのループを自分で止めていく方法を知っていること、自分の良いところを知っていることが大切になります。皆さんは落ち込んだ時、どのように立ち直っていますか?身近な人に話して励ましてもらいますか?それとも新しい課題にチャレンジすることで乗り越えていますか?美味しいものを食べていい気分になったり、一旦忘れてゆっくり眠ることが効くこともあるかもしれません。
対処法はそれぞれの人に合ったものが、それらの問題に合わせて複数存在していると思います。もし、グルグルと止まらなくなってしまった場合は、誰かに話すだけでも楽になるかもしれません。自分の中だけで考えているとなかなか止められなくなるものです。また、誰かに話すことに抵抗がある方は、五感を使って、いま目の前にあるものを感じてみてください。実は五感を使っている間、同時に考え事をすることはなかなか難しいことなのです。
もしお近くに、ダメ出しのループにはまりやすい方がいらっしゃる場合は、ご本人の代わりにその方の良いところを言葉でお伝えしてみてください。毎日、いつもの生活を維持するためには、家庭でも、外の社会でも、学校でも、いろいろな努力や頑張りが求められています。みんながしていることだから簡単なんてことはありません。嫌なことは嫌ですし、苦しいことは苦しいです。頑張っている自分に気づいて、それをセルフケアしていくことも、生活を守るために大切なことの一つになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。この中に、なにか一つでもお力になれる情報が入っていることを願っております。