むせずに食べてもらうコツは安全な「角度」〜脳卒中患者や高齢者を誤嚥から守るために〜

※写真はご本人ご家族の許可を頂いた上で掲載させて頂いております。

こんにちは。リハビリテーション室の言語聴覚士です。

昨年は、外食をすることを敬遠しがちとなる一方、テイクアウト食等でおうち食を楽しむことが増えた時勢であり、食事をどうするか?と考えた事も増えたのではないでしょうか。
「食事」は生活の中で重要な要素であり、リハビリテーションの観点からも椅子に座り、自分で食事をするということは大切です。

普段、健康な時には無意識に食べて楽しんでいますが、脳卒中を中心とした後遺症や加齢の影響があると、椅子に座った姿勢を保てない場合もあります。そこで、今回はこのような時の「食事の安全な姿勢」についてご紹介します。

摂食においては、日本摂食嚥下リハビリテーション学会では「30度リクライニング位 頸部前屈」が最も安全であるとされています。

その理由をご説明する前に、喉の構造をご覧ください。

肺につながる気管は、胃につながる食道の前に位置しています。食道は気管より細く、普段は閉じているため、食べ物は気管に入りやすい構造となっています。

それでは、先ほどの安全姿勢の理由をご紹介いたします。

上の写真をご覧ください。首が反り返ってしまい、気道確保の姿勢になっています。このままでは安全に召し上がることができません。そこで30度リクライニング位に整えると、気管より食道が下になるため食べ物は重力で食道に運ばれやすく、気管に入り難くなります。
ただし、頸部を前屈することも大切です。枕などを用いて角度をつけることで、咽頭と気管に角度がついて誤嚥しにくくなります(上記の写真は判りやすいように示しているのみであり、厳密な咽頭部と食道の角度ではありません)。また、食道の入り口が広がるため胃へと入りやすくなります。
このように、嚥下に適した姿勢に整えて差し上げることでより安全に召し上がることができます。

当センターは、急性期病院であり、状態が不安定であることや、様々な疾患を抱えた患者さんが多くいらっしゃいます。そのような場合、一般的にイメージする「起きて食べる」ではむしろ食べにくい場合もあります。自分自身で食事を食べる事も目標ではありますが、病気になり間もない患者さんでは、まず、『安全に食事を再開する』ことがその第一歩です。

そのため、当センターでは、最適な治療と服薬を調整する医師を中心に、様々職種が協同して患者さんの安全な食事をサポートしています。中でも、言語聴覚士は各病棟に伺い、先に述べた状態に応じた安全な姿勢、嚥下自体の機能を様々な疾患に応じて評価しています。

もし、在宅介護のなかで「食事中むせこむことが多い」とお悩みでしたら、安全姿勢に整えてみることも考慮してみましょう。

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