より安全より効果的なICUリハビリテーションを目指して〜命の砦から始まる自立への第1歩〜

当院では、医師を中心に集中治療に力を入れています。集中治療室(ICU/CCU/SCU)では、医師や看護師だけではなく、我々リハビリスタッフも日々業務を行っています。今回は、集中治療室の患者さんへのリハビリテーションに対して、どのような事前準備をして介入しているか、新たな取り組みも含めて紹介します。

日本集中治療医学会によれば、ICUとは、“集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位”と定義されています。種々の疾患によって生死の境をさまよう患者さんに対して、人工呼吸器や色々な生体モニターが装着され、多くの点滴がつながった状態でリハビリなんてできるのか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。実際に、患者さんやご家族から「こんな状態でリハビリできるのですか!?」というお言葉を頂くこともあります。

ICUでのリハビリ介入前の準備

リハビリスタッフは、リハビリを提供する前に、医師のICU回診に参加し、リハビリを行ってもよいかを確認し、それと同時に病状、治療内容、治療機器を把握します。ICUに入室する原因になった主疾患以外にも、過去に脳卒中や骨折などを経験していないか確認し、主疾患以外の管理も問題ないか、入院する前にどのように生活されていたのかも情報収集します。更に、血液検査データも確認します。運動誘発性に不整脈が生じることもあるため電解質を調べたりしています。また、医師と病状が活動範囲(座位や立位、歩行)に影響を与えないか、またリハビリ時に注意する点について確認します。看護師とは、リハビリ介入時間以外の患者さんの様子や心理的状況、1日のスケジュール等を確認します。特にスケジュールに関しては、ベッド上で過ごすことが多いICUの環境から脱するために、昼食前にリハビリを行い車椅子に座って頂き、座った状態で食事をとっていただくようにしています。また、ICUに在室している重症の患者さんは、リハビリスタッフと看護師だけでなく、医師・臨床工学技士とも時間を調整して大勢の手を得て離床する場合もあり、介入前に準備をすることはスケジュール調整をするためには重要です。

1×1での教育と、チームビルディングとしての協同・合同教育

次に重要なのは、生命を脅かさず、治療を阻害せず、安全にかつ効果的なリハビリを提供することです。そのために、リハビリ室では若年スタッフに対する知識と技術の教育に取り組んでいます。特に、ICUでのリハビリを行う機会が多いスタッフに対しては個別に教育プログラムを行っています。
当院のリハビリ室では、教育の一環として卒後1年目のセラピストがICU/HCUの患者さんを担当する場合、10年目以上の経験豊富な理学療法士(PT)が同行し、リスク管理として問題ないか確認して介入しています。
卒後2年目からは1人でICUでの業務を担当するため、2年目になったPTに対しては、新たに個別教育プログラムを実施しています。知識面に関しては、ICUの治療や疾患に関して問題形式のチェックシートを使用して自分で調べてきてもらい、足りない部分を講義形式で勉強しています。疾患は、当院ICU入室患者数が多い心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患を中心に行っています。写真はA-aDO2(肺胞気動脈血酸素分圧較差)について、例題を出して計算してもらっているところです。

個別教育プログラム

ICUリハビリ = チーム協働

ICUでのリハビリを実施する上では、看護師と協働することがとても大切です。沢山の器具があるために「手」が必要だからという面だけでなく、お互いに強みとする部分、率先して管理できる部分をフォローし、補完し合うことで患者さんの安全は確保されます。そのため、「声かけ」「顔を合わせ」、スタッフを知る、タイミングを図るなどが大切です。
そのきっかけづくりや、卒後1年目の教育機会も含めて、ICU・CCU・SCU/HCU看護師と合同で勉強会を行っています。患者役とスタッフ役に分かれて模擬的に身体に点滴やドレーン等を装着し、重要な管が抜けないようにするためにはどうするのか、ディスカッションしながら行います。また、お互いの職業の得意分野、不得意分野をアンケートで答えてもらい勉強会で結果を発表し、互いの得意分野を活かしつつ不得意分野を互いに補える様に情報共有をしています。

ICUは命の砦の役割をもつと同時に、回復し元の生活へ戻る第1歩の場所です。リハビリ室では、病気や怪我によって生活が一変してしまった方々が1日でも早く元の生活に戻れるように、これからもICUでのリハビリに尽力していきます。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター  リハビリテーション室

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