~急性期病院での作業療法リハビリの提供とは・・・~

急性期リハビリテーションとは、病気やケガをして1週間以内にリハビリを開始すること、点滴や心電図モニターなど身体に何かを付けられることを余儀なくされている状況でのリハビリ介入です。その担当者は、「立ってもらう・歩いてもらう」リハビリテーションを行う理学療法士が多く、作業療法士は絶対的に少ない状況です。

理学療法は「下肢・足のリハビリ」、作業療法は「上肢・手のリハビリ」などと分けられがちですが、実際の役割分担はそこまで単純ではありません。作業療法の最大の特徴は、認知・精神機能を評価しながらリハビリテーション内容や生活環境設定して、患者さんなどが動ける範囲を拡大していく点にあります。

当センターで作業療法士が介入するのは、
○脳神経外科術後、脳卒中の患者さん
○手を中心とした外科術後の患者さん
などです。
急性期であるからこそ機能面の低下は著しく、更に落とさないようにすることがすべての職種に求められます。作業療法士も、1日でも早く回復し元の生活に戻れるように関わります。当センター整形外科には上肢専門の医師が在籍しており、手の外科に関わることが多くあります。その場合は、手・上肢/腕の機能強化がそのまま患者さんの望む作業を叶えることに繋がるため、しっかりと強化していきます。

当センターの特徴として、ハートチームや高度急性期病院でもあるため、
○心臓血管外科や循環器内科の重症化・長期化した患者さん
○内科・外科疾患も同様に重症化した患者さん
にも、作業療法士は介入しています。特に、順調に退院できる患者さんではなく、重症化して様々な動作が自分で出来ない、指示動作が出来ない、認知症が悪化している、合併症を併発したなど、状態が複雑化した患者さんが大半です(重症化した患者さんの割合は、単純には理学療法士よりも作業療法士の方が関わることが多いかもしれません。)

~出来る活動・作業を1つでも増やす~

朝起きるところから寝るまで、人間はずっと「作業(活動)」をしています。色々な日々の活動≒作業と定義していることが「作業療法が判りにくい」所ですが、、、当センターのような急性期病院にいる間に1つでも多く自分で出来ること、手助け無しで出来ることを増やすために、出来る動作を見つけること、獲得できるように作業療法士は関わり、練習しています。

脳卒中患者さんだけでなく、多くの患者さんは、急性悪化後には食事を自分で食べられなくなります。自分で口から栄養を取ることは、身体回復の大きな力となるため、食事動作や動作前の座る練習などを行います。細かい手の操作練習としては、折り紙や創作活動を通して行います。また、特殊なアクリルコーンを使うなど、作業療法独特の物品操作練習を行い、手の筋力訓練、筋肉の使い方などを見ながら練習を行います。必要に応じて、動作が出来るようにその方にあった道具に工夫や作成を行うこともあります。例えば、病気の重症化などに伴って手足が全て使えなくなった方が、自己で食事が食べられるようにしたり、テレビのリモコンやベッドコントローラーを操作出来るように、位置や道具を変更したりしていきます。

~脳・認知の専門職として。リハビリだけど、休むことも必要~

急性期、特にICUにいるような超急性期・全身状態が不良の場合、そのこと自体が脳や認知機能を低下させやすく、必ず認知機能・精神機能は低下/悪化しやすい状況となっています。急性期を過ぎると自然に良くなる場合もありますが、認知機能・高次脳機能を評価し、生活に支障がないかを作業療法士は確認していきます。誰もが自立した生活が送れるように関わっていきますが、難しい場合は、環境の調整や対応方法を検討していくことがあります。

また、「リハビリ」となると、ひらすら動いたり、きついことをイメージしますが、正しく動くには休んだり精神・認知的落ち着きやバランスが必要です。特に急性期病院は落ち着かない環境です。そのため、休息バランスも含めながら、自ら動けるようになることを注視して作業療法では介入しています。脳卒中患者さんの場合、自分で立ったり座ったり、食事を自分で食べられるようになるための練習も多くなりますが、リハビリ室でお話が出来たり、単純な手作業が出来るようになる、一緒にリハビリ室で団欒できる、そのような環境を提供してあげること自体が作業療法でもあります。一般的に「リハビリが乗らない・・・」ような患者さんのリハビリは任せろ!が作業療法士であり、急性期リハビリに挑んでいます。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター  リハビリテーション室

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