リハビリテーション室
室長 水野 啓
新型コロナウイルス感染症の拡大で、外出する機会が減り、運動不足による筋肉の低下で身体的に衰え、人とのつながりの減少により社会的な衰えが心配されます。
特に高齢の方は基礎疾患を抱えている方も多く、身体機能や認知機能が落ちている場合も少なくありません。このような状態は一般的に「フレイル」と呼ばれ、個人差はありますが70歳を過ぎた頃から顕著に現れるといわれています。
フレイルには、体力が衰える「身体的フレイル」以外にも、気力や認知機能が低下する「心理的・認知的フレイル」、人との交流が減り、閉じこもりがちになる「社会的フレイル」の3つの面があります。これらフレイルの重なりは、疾患に掛かるとさらに拍車を掛けます。
新型コロナウイルス感染症によるSTAY HOMEは、このようなフレイルを増悪させる可能性があり、家の中で適切な運動を維持することがとても大切です。
「適度な」運動を続けて、長い闘いを乗り切りましょう!
在宅、家の中でも転倒します
外出しないから、「転倒しない」ということはありません。運動不足で筋力が低下すると、家の中でちょっとバランスを崩しただけでも身体を支えられなくなり、転倒してしまうケースがあります。膝周りの筋肉や足を上げる筋肉が弱ると、椅子から立ち上がるのがやっとになり、すり足歩行でわずかな段差でもつまずきやすくなってきます。
まずは、家でできる家事自体が良い運動と気付きましょう。一日中座っていてはいけません。小まめに動くことを心がけ、テレビを見ながらでも運動することが大切です。
運動不足による子供たちへの影響
子供達もSTAY HOMEで家にいることが多くなります。勉強やテレビ視聴、テレビゲームで座っている時間はどんどん延長します。また、本来は学校の時間帯に昼寝をしてしまっていることもあるようです。
段差昇降運動
※階段昇降、踏み台昇降は、体力を求められますので、ふだん階段を使用しない方、高齢の方は行わない方が良いでしょう※
※1段だけ利用して上がり←→下がりを繰り返します。体力に応じて手すりを持って行い、2~3回目安に行いましょう。体力のある方は少しずつ回数を増やします。
家の中に階段があれば1段だけを利用して「踏み台昇降」を行ってみて下さい。このような段差の上がり下がりは筋力・バランス・持久性など全般的な強化が期待できます。
バランスと筋力強化運動
姿勢を整え、肩こり、肩痛予防する上半身の運動
タオルを使って、上半身をしっかり動かすことは簡単ですが効果的です。姿勢を整えるだけでなく、肩こりや肩痛の予防になります。これもテレビを見ながらでも実行できます。出来る範囲から、少しずつでも、毎日やってみませんか。
タオルを持って、両手で首の後ろに持ってくる。高齢の方の場合は、どうしても背中が曲がりがりですが、可能な限り背中を伸ばして!
前に出す。
できる人はそのまま後ろに持ってくる。
今回は、「在宅でできる簡単な運動」を紹介しました。
ただし、「運動のやり過ぎ」はかえって体力、免疫力を落とします。何事もやり過ぎは禁物です。「ふう、疲れたな・・・」程度に留めて、なるべく毎日繰り返すことが大事です。
今はSTAY HOMEが求められていますが、少しでも運動不足を軽減するためにできることから身体を動かしていきましょう。この記事が皆様のSTAY HOMEを健康にするため少しでもお役に立てれば幸いです。どうぞお大事に!