【初期研修医の一日】東京ベイ・浦安市川医療センター 〜総合内科編〜

様々な科をローテートし、幅広い経験を積む初期研修において、
総合内科(General Internal Medicine:GIM)研修はその土台になるものです。

平岡栄治先生率いるGIMでの、初期研修医の一日とはどんなものでしょうか。
研修医2年目のS先生の一日を覗いてみましょう。

「総合内科の朝は早い」

…S先生は、朝6時に目を覚まします。
簡素な朝食を済ませ、お気に入りのロード・バイクで風を切りながら病院に到着。
スクラブに着替えを済ませ、S先生は受け持ちの患者さんの回診をします。
昨日の日中に入院した腎盂腎炎の患者さんは、解熱傾向で昨日より元気そう。
「先生、朝早いですね。大変ですね。」
患者さんの優しい気遣いに、おもわずS先生も笑みがこぼれます。
初期研修のS先生の受け持ち患者は7〜10人程度。
1年目の時に比べると把握できる患者数も増えてきた実感があります。
受け持ちの患者さんに大きく異常はなさそう、
午前7時30分からの朝カンファに備えて、S先生は医局に戻ります。

「モーニングレポート」

7時30分からのモーニングレポートでは、当直帯に入院した症例の呈示が行われます。
今日のプレゼンターはS先生の同学年のT先生。
「原因のはっきりしない意識障害」の症例呈示です。

そつなくプレゼンをこなすT先生ですが、
こんな病歴はあるの? こんな身体所見はあったの?…
血気盛んな後期研修の専攻医からの質問の嵐に、たじたじです。
「それは、何を鑑別に挙げた質問なのかな?」
司会のK先生からも補足があり、「聞きっぱなし」「言いっぱなし」に終わらない
教育的な内容になっています。

「そもそも意識障害の鑑別というのはな…」
GIM医長よりプチ講義が始まります。

「追加のコメントやけどね、Advance Care Planningはどうなってんの?」
GIM部長の平岡先生が口を開くと、みな一言も聞き漏らすまいと耳をすませます。
膨大な医学的知識と経験がありながらも常に「患者の人生にとってのBest」という視点を忘れない、ハートフルな平岡先生は、みなの尊敬の的です。

前日に入院したばかりの症例を題材に、「臨床的に悩ましい所」を
みんなで解きほぐす中で、上級医からたくさんのclinical pearlが送られます。

朝一からの白熱したカンファに、S先生も背筋の伸びる思いです。

「専門科カンファ 〜プロフェッショナルとともに〜」

朝カンファに続いては、日替わりで様々な専門科からのカンファが行われます。
感染症科、膠原病内科、循環器内科、腎臓内科、外科それぞれの専門医から、
「総合内科として知っているべき知識」から一歩進んだところにふれるレクチャーがあります。
S先生の知的好奇心が否応なく刺激されます。

「チーム回診 〜M先生みたいになりたい・・・ 身近なロールモデル〜」

楽しいカンファの後には、チームで病棟回診です。
東京ベイのGIMでは、卒後1(PGY)5年目をリーダーとして、
3-4年目、1-2年目の3人程度でチームで患者を受け持ちます。

チームリーダー。PGY 5のY先生は東京ベイのGIMで鍛え上げられた、頼れる兄貴のような存在。
PGY 3のM先生は、年齢も近く親しみやすいですが、すでに重症患者の診療やハイリスクな手技も難なくこなす、身近なロールモデルのような存在です。
3人で15人程度の入院患者を順番に回診します。
自分の担当患者では、S先生が簡単にプレゼン。
「患者さんは80歳男性、3日前に細菌性肺炎の診断で入院となっている方です…」
Y先生から細かいフィードバックがあり、ベッドサイドで一緒に身体所見を取ります。
「入院時に比べて、肺雑音の聴取範囲も狭くなってきているね。」

そんな中、Y先生のPHSに救急外来から電話が。
「90歳女性の蜂窩織炎疑いが入院することになった。Sくん、一緒に入院を取りに行こう。」
蜂窩織炎の患者を受け持つのは初めて。
慌ててネットで「蜂窩織炎」について検索するS先生に、
階段でERに向かう道すがら、Y先生から「蜂窩織炎というのはね…」ショートレクチャーが始まります。

「一息つこう お昼タイム」

お昼はリラックスして食事タイム。今日は近所のインドカレー屋から配達を頼みました。
スパイシーなインドカレーを楽しみながら、お昼にはお昼で昼レクチャーが。
今日は平岡先生から、「ethicsレクチャー」が。
医学的にも悩ましいことは日々たくさんありますが、
倫理的に悩ましいことこそ、昨今の高齢者診療の中では増えてきています。
そこをクリアカットに紐解いていく平岡先生は、まさに、浦安の知性とでもいうべき存在です。

「そういえば、いま担当している重症心不全の患者さん、90歳とご高齢なんだけれど、
ご家族は“やれることは全部やってくれ”とおっしゃっていて、
ご本人は“もうあんまりしんどい治療はしたくない”とおっしゃっていて、
今後の治療方針が悩ましいんだよな…」

「平岡回診」

「ethicsレクチャー」が終わった後、S先生は平岡先生に相談に向かいます。
「今、病棟でこんな患者さんがいて…」
平岡先生は、S先生の悩みをうなずきながら聞き、言います。
「それは、わしも患者さん本人とお話させてもらいたいな。
先生、いま時間大丈夫? ほな、行こか。」

身近な先輩から部長まで、みんな教え好きでフットワークが軽い。
見守られながら、日々、しっかり成長出来る環境。
「昨日より今日、今日より明日、少しづつでも一日一日成長していかなくてはいかん」
とは、平岡先生のよく仰る言葉ですが、それを実践出来るのが東京ベイGIMです。

「サインアウト」

そうこうしているうちに夕方になりました。
入院した蜂窩織炎の患者さんもとりあえずは安定しています。
S先生はY先生と共に、当直医師にサインアウトをします。
注意が必要な入院患者を中心に申し送りをした後は、PHSの電源を切ります。
日中はたくさんの症例を受け持って大変なこともあるけれど、
一旦申し送りまで終われば、気持ちを切り替えてアフターファイブを楽しむことが出来ます。
このon-offの切り替えがしっかりしているところも東京ベイGIMの特徴です。

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