眠らない画像検査24時〜東京ベイ放射線技師の夜勤風景から〜

今回は放射線技師の夜勤にスポットをあててみたいと思います。
患者さんからは『レントゲンの技師さん』と呼ばれることが多いでしょうか。医療での画像検査と放射線の専門家だと覚えて頂けると嬉しいです。2019年にはTVドラマの影響もあり少し脚光を浴びたようです。

当センターの放射線室は16:30から翌朝9:00まで、2名の放射線技師で夜勤に臨んでいます。
この2名の放射線技師が担う夜勤の守備範囲は

  1. 救急患者(軽症から最重症まで)
  2. 他院からの転院搬送
  3. 心臓大動脈疾患(急性心筋梗塞、大動脈解離、大動脈瘤)
  4. 入院患者さんの処置及び急変

に備える広さです。

装置も
一般撮影(『レントゲン』でお馴染み)、ポータブル撮影(動けない、動かしたくない患者さん用の回診用)、CT、MRI、X線TV(リアルタイムで観察できる装置)、血管撮影(『カテーテル検査・治療』で使います)
と多岐に渡って使用することになります。

ここで、ある日の夜勤をご紹介しましょう。

16:30 夜勤開始
まずは情報収集です。各部門の検査進捗状況や装置トラブルなどの申し送りを受けます。また、カテーテル担当の夜勤者は日勤のカテーテル班スタッフを一旦休憩させるため、交代要員としてカテーテル室に向かいます。
17:00 救急PHSを受け取り
カテーテル室からコンビの技師が戻って来ました。
日勤者からPHSを受け取ります。夜勤はこのPHSが放射線室の窓口となります。実に良く鳴ります。鳴り続けます。その合間を縫いながら検査をします。
この時間帯は入院患者さんの処置後撮影依頼や手術直後の撮影依頼が多く、一人は地上に残って検査を進めて、もう一人はポータブル撮影で病棟や手術室などへ向かいます。
21:00 夕食
交代で夕食をします。この夜はゆっくりと食べることができましたが、状況によっては流し込むように食べたり、深夜に食べたり・・・
食事後も検査は続きます。この時間帯になると、入院患者さんの検査よりも救急患者さんの検査が主になります。
23:30 緊急カテーテル入電
心筋梗塞疑いで他院から15分後着で搬送されてくるようです。心臓カテーテル検査の準備の入電とともに、1人の技師はカテーテル室へと向かいます。
残った技師は検査をしながらカテーテル治療が早く無事に終わることを願っています。
1:00 頭部CTを撮影したところ・・・
ストレッチャーでCT室に入室です。
激しい頭痛で吐き気がするため、頭部のCTを撮影したところ、『クモ膜下出血』を認めました。画像を見たと同時にもう1台のCTでCTA(CT血管造影)の準備をします。
クモ膜下出血は緊急手術となります。手術室入室時刻までの間に検査、3Dワークステーションで画像作成、処理を行います。そして、脳外科の先生が来るまでに原因(脳動脈瘤)を探しておきます。時には、脳外科の先生と一緒に探します。
6:30 ICUへ
7:30からのICU朝カンファレンスに間に合うようにポータブル撮影へ向かいます。
当センターは3階に集中治療室(ICU/CCU/SCU)があり、治療室の窓から日の出を見て、朝が来たなあと感じています。
この間も救急患者の対応は続きます。そして、私達放射線技師にとって大切な検査装置を順次再起動していきます。故障を防ぎ、安定した稼働のために大切な業務です。
8:20 朝礼
日勤者も出勤し、連絡事項や申し送りを行い、9:00に終業です。さぁここから日勤帯スタッフによる画像検査がエンジン全開で始まります!

最後に
当センターはER型救急医療を実践しており、あらゆる症状の患者さんが訪れることから我々放射線技師の出番は多いです。いつ、どのような患者さんが訪れるか全く予測することができないため、各自が適宜状況を把握する力とコンビを組む相手との連携や情報の共有を図るコミュニケーション能力を発揮しなければなりません。そのためには、日頃からの努力を惜しまず取り組んで参りたいと思っています。

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