みなさんこんにちは。今回は『診断参考レベル』のお話をしようと思います。診療放射線技師は撮影したあと画像だけを見ているわけではありませんよ?もちろん、撮影した画像を見ることは大事ですが他にも患者さんがその撮影でどのくらい被ばくしたのかを知っていなければなりません。
少ない放射線被ばくで最良の画像を提供する探究は、我々診療放射線技師にしかできない究極のテーマです。
診断参考レベル(DRL)とは?
病院で行われるX線撮影やCT検査など、放射線を用いた検査(放射線検査)で受ける放射線被ばくを「医療被ばく」と言います。医療被ばくには患者さんの病気を見つけるという大きなメリットがあるので、法律でこれ以上放射線を浴びてはいけない量(線量限度)は決められていません。医療被ばくに線量限度を設けてしまうと、患者さんが病気の診断や治療に必要となる放射線検査を受けられなくなるという大きな不利益になってしまうことを避けるためです。
しかし、高すぎる放射線量は病気の診断のためには不必要な被ばくとなり、患者さんも不利益になってしまいます。そのため病院では、病気の診断に必要となる最小限の放射線量で検査が行えるように指標が作られました。その指標となるのが診断参考レベル(DRL)です。

▲線量測定している風景
日本国内で放射線診断などに用いられる標準的な線量を調査し、それらを集計して標準的な線量などを導き出し、それよりも線量が多い医療施設に対して、検査などで用いる線量の見直しを促すためのものです。
そして、2019年3月に医療法施行規制の一部が改正され2020年4月より医療放射線の線量記録および管理が各医療機関に義務づけられることになりました。
当院では2020年から一元的に管理する目的でDoseXrossと言う線量管理システムを導入して線量管理をしています。線量管理をしている装置はCT検査、血管撮影検査、核医学検査です。また今後は別の管理ツールで一般撮影検査なども管理をする予定です。
DoseXross ~被ばく量を見える化~
当院では、DoseXrossと言う機器管理ツールに検査した患者さんのデータ、被ばく線量を各検査装置から検査終了後送信しています。
実際に下記の様な書式(今回は血管撮影室の書式を使用)を使って1年に2回線量管理実施記録(線量記録)を提出しています。


▲線量管理システム画面

▲線量管理実施記録(線量記録)

この様式に調査期間(半年間)や検査を行った件数、線量を記入し提出しています。線量は撮影した部位や検査プロトコール別に平均値をDoseXrossが算出してくれます。その値を定められたDRL値と照らし合わせて当院の線量が高いのか適正なのか判断しています。
実際に血管撮影室は、この管理ツールが始まってから定められたDRL値に応じて線量測定を行い、ただ線量を下げるだけでなく画質も担保できる程度にプロトコールの見直し被ばく低減に努めてきました。

▲線量測定している風景
どの検査でも同じですが、この管理ツールがあることにより検査部位や内容によって当院ではどのくらい被ばくするのか把握することができています。適切な管理をしていることによって適切な線量で患者さんに放射線をあて検査をしています。
日々の業務で患者さんから「昨日も検査したけど大丈夫?」とよく聞かれることがありますが、そこはしっかり管理をしてるからこそ自信をもって「大丈夫ですので安心して検査を受けてください」と言うことができています。
このように、件数が多いハイボリュームな当院でも撮影して画像を見るだけの診療放射線技師ではなくモダリティごとにDoseXrossで線量管理を行い患者さんに適切な線量で安全に検査できるように日々管理をしています。
