放射線室 高橋 哲也
みなさんこんにちは!放射線室の高橋です。
今回お話したいのは今年4月から稼働した新カテ室の最新装置の紹介です。ホントは3年前に稼働予定だったのですが新型コロナウイルス感染症の流行で延期になり、やっと2022年4月に稼働することができました。
稼働前の部屋の工事風景です。


正直私も新しい大きなカテーテル治療室ができる経過を見るのは初めてです。貴重な体験ができました!
最新機種 PHLIPS ASURION7 C20
本題に入りますが今回導入したのはPHLIPS ASURION7 C20です。

この装置にはたくさんの新しいアプリケーションが入っており、この装置の導入により今までは出来なかった事が出来るようになりました。今まで操作したことのない初めて操作する装置なので使いこなすのは大変ですが…笑。そのおかげで、治療をよりスムーズにできる画像を医師に提供できるので、患者さんの被ばく低減や検査時間の短縮につながります。
では、この装置で何ができるようになったのか、たくさんあるアプリケーションの中で紹介したいと思います。
平面から立体へ映す~EmboGuide~
PHLIPS ASURION7 C20で新たに入っているEmboGuideという新しいソフトウェアを用いて、肝細胞癌という特定の病気に対するTACE(肝動脈化学塞栓術:(transcatheter arterial chemoembolization)の手技で、私たち診療放射線技師として医師にどのような支援ができるのかご紹介していきたいと思います。
まず肝動脈化学塞栓術(TACE)とは、肝細胞癌が進行すると肝動脈という動脈の血流が豊富になり、腫瘍への栄養を供給するようになります。足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、肝臓内の腫瘍を栄養する細い動脈までカテーテルを進めます。そこで抗癌剤などを入れ、動脈の血流を遮断し、腫瘍細胞を壊死させる方法です。
TACE(肝動脈化学塞栓術:(transcatheter arterial chemoembolization)の手技を行う前に必ずCT検査を行い、先ほど説明した肝細胞癌がどの動脈から栄養をもらっているか、ある程度把握する必要があります。

CT検査を撮影し終わった画像ですが白く造影されているのが肝細胞癌(青〇)です。CT検査で、ある程度肝細胞癌の場所や責任血管がわかることができます。
実際にカテーテル検査中の撮影で肝細胞癌(青〇)が黒く染まっているのがわかります。しかし、この撮影では立体的に見ることができず血管がどのような走行をしているかわかりません。そこでカテーテル治療室で立体的に見ることができる撮影を行いEmboGuideのアプリケーションを使用すると

肝細胞癌までの栄養血管を追って、仮想血管ルートとして分かりやすいように線を引いてくれます。また立体的に見ることができるので、栄養血管がどの向きでどのように出ているかわかるため、よりスムーズに手技が出来るようになっています。
このように撮影からこのアプリケーションを使用し癌までの血管の同定、画像の構築までが診療放射線技師が行い、より見やすい画像を医師に提供しています。
また、撮影する上で重要なのは患者さんの息止め、造影剤の注入条件などです。患者さんにどのくらいの時間息を止めてもらうかを説明、練習するのを忘れずに行っています。また適切な注入条件になるよう医師と相談しこの撮影に臨んでいます。
まだまだこの装置には他にもたくさんアプリケーションが入ってますが、今回紹介したEmboGuideのように手技支援アプリケーションを使いこなし、より短時間で検査が終えられるように日々奮闘しています。
今回は、EmboGuideのようなアプリケーションを使うIVRでの新しいカテーテル検査室の紹介でしたが、他にも循環器内科での心臓や下肢の治療に多くこの検査室を使っています。下肢の治療に関しては学会などのLIVEデモンストレーションにも使用し、今後どんどんこのカテーテル治療室から発信出来ればと思っています。