血管を3次元化する職人芸~治療の鍵を握る放射線技師の画像処理スキル〜

こんにちは、放射線技師の小川です。
私たち放射線技師は、レントゲンやCT、MRI検査などいろいろな画像診断装置を使用して検査を行っています。そのなかで私たちが行っている画像処理についてご紹介したいと思います。

血管の3D画像作成の流れ

まずは患者さんにCTやMRI検査を行い、そこから得られた断面画像データを専用のパソコンに転送し、そのデータを3D画像作成用のソフトで開きます。

輪切りのデータをパソコンで読み込むだけでは3D画像は得られません。図1のように骨や臓器なども表示された状態なので、ここから血管が見えやすくするための画像処理が必要です。骨などが血管と重ならないように取り除き、血管に色を付け図2のような血管のみの3D画像作成ができるのです。

昨今、ソフトウェア技術の進歩は目覚ましく自動で画像処理を行うことができるため3次元画像を作成する機能や能力に加え処理スピードも格段にあがりました。しかし、コンピュータでは処理できない細かな部分は放射線技師が手作業で行っているのが現状です。

上の画像は同じ患者さんの右足の血管を白黒表示させたものです。図3は機械が自動で画像処理した血管3D画像、図4は自動処理+手作業で画像処理をした血管3D画像です。図5と図6は図3と図4を拡大した画像です。2つを比較すると、図5より図6のほうがより細かい血管が綺麗で見やすくなっていることがわかります。画像処理に一手間加えることで鮮明な画像を作成し、より詳細な血管病変を可視化できることで治療部位の特定や治療後の評価にはとても重要なことなのです。

血管の3D画像による治療のアシスト

当センターではさまざまな血管に対する治療を行っており、私たちの作成する血管の3D画像はそのアシストになっているので、とても重要です。

図7は消化管出血のため腹部の造影CTを行った患者さんのデータを3次元表示した画像で、図8は血管内治療で造影したときの画像です。
例えば消化管出血は、どの血管から腸に出血が起こっているかを事前に3Dで確認することができれば、血管内治療の際に、選択的に治療用のカテーテルを進めて迅速に出血を止めることができます。

図9は脳血管動脈瘤破裂のため頭部の造影CT検査を行った患者さんのデータを3次元表示した画像、図10は左側の内頚動脈後交通分岐部にできた動脈瘤を拡大した画像です。
脳血管動脈瘤破裂によるくも膜下出血の場合、一刻を争う場合があり、手術には脳血管の3D画像が用いられます。そのため患者さんの撮影から3Dの作成を短時間で行い、提出しなければなりません。

このように血管の3D画像は、手術などの治療に密接にかかわっているので、精度や早さなど高い画像処理能力が求められます。
私たちは、血管の3D画像をいかに丁寧かつ迅速に作成するか日々研鑽を重ねています。

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