匠の放射線エンジニアリング ~最適な医療画像を通じて、より安全、より負担の少ない治療を追求します〜

今回は、当院の特色の1つでもありますハイブリッド手術室業務についてお話したいと思います。まず皆さんは、ハイブリッド手術室って何?と思う方もいらっしゃるかと思います。ハイブリッド手術室は手術台と血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のことを言います。要するに手術室と心臓カテーテル室、それぞれ別の場所に設置させていた機器を組み合わせることによって高度な医療を提供できる部屋の事を言います。

では、当院で行っているハイブリッド手術室業務において放射線技師の携わっている内容をお話します。
ハイブリッド室業務は常時放射線技師2名で検査・治療に当たるようにしており、1名は医師の手技の流れに合わせ手術台・血管X線撮影装置の操作を行い、もう1名はX線造影剤自動注入器(インジェクター)操作、血管X線撮影装置を動かした際に、コード類が抜けないか、患者さんと機器の位置関係が適切か、など様々な点に注意を払って確認を行っています。

【術中の風景(ハイブリッド手術室)】

私達放射線技師はハイブリッド室業務として主にTAVI(経皮的大動脈弁置換術)、ステントグラフト内挿術に携わっています。TAVIは大動脈弁狭窄症のカテーテル治療、ステントグラフト内挿術は胸部や腹部にできた大動脈瘤のカテーテル治療です。
ステントグラフト内挿術の中で、胸部にできた大動脈瘤の治療をTEVAR、腹部にできた大動脈瘤の治療をEVARと呼びます。今回はステントグラフト内挿術についてもう少し、詳しくみていくことにしましょう。

・ステントグラフト内挿術(TEVAR)

ステントグラフト内挿術を行う際、事前に撮影したCTやMRI画像を術中に活用することで、よりスムーズかつ安全な治療が可能となります。具体的には、術中の透視画像とCTやMRI画像の重ね合わせ(Fusion)を行う事により、術中画面に術前検査での大動脈の画像を重ねることが出来ます。この機能を「2D3DFusion」と呼びます。この機能を使用することにより、血管造影をしなくても(余分な造影剤を使わずに)おおよその大動脈の走行が把握可能となります。
2D3DFusionの流れとしましては、術前のCTで得られた画像を骨と血管のみのデータに作り替えを行います。

次に検査を始める際、寝台に寝ている患者さんの骨の情報と事前に作成しておいたCT画像の骨の情報を2方向の透視を使用し重ね合わせ、位置合わせを行います。

術前CTの骨画像(赤)と透視(グレー)での画像重ね合わせ

位置合わせが終了した骨の画像と事前に作成しておいた血管の画像を置き換えることによって、透視画面上にCTの血管データを重ねることができ、術中のサポートツールの1つとして役立っています。

透視画像に重ねた術前CT画像(ピンク)

・ステントグラフト内挿術(EVAR)

EVAR時は、「EVAR Guidance」というサポート機能を使用して治療にあたっています。
「EVAR Guidance」とは、上記の「2D3DFusion」同様、術前CTやMRI画像を使用することによって、術中の透視画像に血管情報を重ねることができます。

術前CT画像(赤)と透視(グレー)での画像重ね合わせ

腹部大動脈は胸部大動脈と違い、各臓器に枝分かれする血管がたくさんあります。そのためデバイス(ステントグラフト)を留置する際に血管の分岐部がよく見える角度で確認しないと、血管を閉塞させてしまう怖れがあります。「EVAR Guidance」はTEVARで使用している「2D3DFusion」の機能に、各血管の分岐角度を算出する機能と、血管の入り口をマーキングする機能を追加したものになります。
この機能により、血管に留置するステントグラフトの長さの目星をつけられますので、私たちもよく助けられている大変便利な機能です。

術中の血管造影画像(青マークが内腸骨動脈の入口部)

上記の機能は、位置合わせを誤ってしまうとずれた画像が透視画像に重なってしまいますので、私達は細心の注意を払いつつ検査に立ち会うように心掛けております。今後も、CT室やMRI室のスタッフと密に連携をとり、医師の手技をサポートするツールを活用し、一人一人の患者さんにあわせたベストな検査・治療を目指したいと思います。

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