CTでここまでわかる!心臓病の術前評価~治療に向けてバトンを繋ぐ放射線技師の魂〜

CTとはComputed Tomographyの略でコンピューター断層撮影を意味し、放射線を使い人体の様々な情報を取得します。
近年ではCT装置の進歩により従来の装置より短時間で広範囲の詳細な検査が可能となりました。
現在、当院では320列CTを導入し様々な検査を行っています。

320列CTの最大の特徴は、16cmの幅を一回転で撮影できるところです。
この幅は大体心臓と同じ幅のため、心臓全体を一回転で撮影することが可能となります。
そんなCTで心臓の検査を受ける。どのような印象を受けるでしょうか?
どんなことが行われるのかわからない方が多いのではないでしょうか。

一般的な心臓CT検査は、ヨード性造影剤を使用し心電図同期を行ったCT検査になります。
簡単に言うと心電図を装着し注射一本で心臓をきれいに表現し病気を見つけるのが心臓CTです。

そこで今回、東京ベイ・浦安市川医療センターで行っている心臓CTを紹介します。

冠動脈の評価

心臓は体内でも動きが活発な臓器の一つであり撮像が難しい部位です。これまでは虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)の患者さんの場合、入院してからカテーテルによる検査をしない限り診断することが出来ませんでしたが、心臓CTにより安全に虚血性心疾患の原因となる冠動脈狭窄の評価をすることが可能になりました。また、内科的治療(PCI)を行った後に血管がまた狭くなっていないかを検査し、外科的治療(冠動脈バイパス術:CABG)を行った後の繋いだ血管に正しく血液が流れているかを確認します。

不整脈治療前の検査

冠動脈の評価だけでなく、心臓全体の構造を詳細に把握することが出来るのもCT検査の強みです。不整脈に対する治療としてカテーテルアブレーションという治療があります。心臓の形は患者さんひとりひとりで異なりますが、手術前に心臓CT検査を行い、解剖学的な特徴を把握することが可能です。解剖学的な特徴を把握することで、より安全で効果の高い治療を受けていただくことが可能となります。

先天性心疾患の評価

生まれつきの心臓異常を先天性心疾患と呼び、非常に多くの疾患が含まれます。同じ疾患でも個人により症状は異なり、大人になり症状に気づき診断される場合もあります。

左心耳の評価

左心耳は袋状になっているために、血流低下の影響を受けやすく、血栓の好発部位と言われています。左心耳に出来た血栓が大動脈に流れると全身の血管に進み、頭の血管を閉塞した場合は脳梗塞をおこします。心臓CTでは、左心耳の血栓を見つけることが可能です。

弁膜症の術前評価〜大動脈弁〜

何らかの要因でうまく心臓の弁が機能しなくなることで起こる病気を心臓弁膜症といい、大きく分けて逆流と狭窄があります。従来より、心臓超音波検査がゴールドスタンダードとされていましたが、CT装置の向上により心臓の弁評価が可能となってきています。TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)やAVR(大動脈弁置換術)の術前精査などに活用しています。

患者さんが適切な医療を受けられるように〜放射線技師だけが知っている本当の闘い〜

東京ベイ・浦安市川医療センターの心臓CTを紹介してきましたが、これらは撮影しただけでは診断できません。
狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気を正確に評価するため、検査終了後も私たち放射線技師の仕事は続きます。
心臓CTのように造影剤を使用した撮影では、観察したい部位に造影剤が届いたタイミングを狙って撮影を行う、タイミングを外せない一発勝負の検査です。そのため再撮影は難しいことが多く、撮影後の画像を緊張しながら確認します。
しっかり息止めができていないと、撮影後に正確な評価が難しくなりますので、患者さん本人のご協力がとても大切です。

十分な条件で撮影できた場合は、CT装置が最適なデータを自動抽出してくれ、その後3Dワークステーションで画像作成・処理を行います。
冠動脈の評価では、血管を抽出し・血管に名前をつけ・心臓の形を整え・病変がないか確認し・画像を保存していく・・・。
冠動脈の評価であれば早い場合30分程度で処理は完了しますが、中には1時間以上かかるものもあります。
冠動脈以外のその他心臓CTではさらにプラスした画像を作成していくため、多くの時間を必要とします。

心臓病患者さんが適切な医療を受けられるよう、私たちはこの320列CTの特徴を活かし、身体への負担を少なく、より精度の高い心臓CT検査を目指しています。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター  放射線室

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