痛みは我慢しないで~薬剤師が考える体と心を和らげる緩和ケア~

こんにちは、東京ベイ薬剤師のTです。
みなさんは緩和ケアについてご存じですか?
緩和ケアとは、病気を患った際におこる「からだ、こころの苦痛」を和らげるためのお世話をすることです。
当センターでは医師、看護師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカーと一緒に、私たち薬剤師もチームの一員として緩和ケアに携わっています。

緩和ケアチームの薬剤師は主に薬物療法に関わっていますので、どんなことをしているかをご紹介します。

まずは「痛み」についてです。
痛みがあるとうまく体を動かすことができなかったり、気持ちがとらわれてしまいやりたいことができなくなったりしますよね。
緩和ケアチームは少しでもその痛みを和らげるために、患者さん一人一人の痛みに一番効果のある薬はなにかを考えます。

例えば、癌を患っている患者さんが入院されているときに、「お腹の痛みがあってよく眠れない」と言われたときには、まず主治医が診察をします。いろいろな検査をして、痛みの原因を突き止めます。患者さん本人にも、どんな痛みか、どういうときに痛みが強くなるのかなどを聞き取ります。痛みの強さは、0~10の数値に置き換えて患者さんから教えてもらいます。主治医は、問診、検査結果等から総合的に判断し、鎮痛薬を処方、使用開始します。
しかし、鎮痛薬が開始されても、十分に痛みがとれないことがあります。こんなとき、主治医は、今使用している鎮痛薬を増やしたほうがいいのか、それとも別の鎮痛薬に変えたほうがいいのか、はたまた別の鎮痛薬を追加するほうがいいのか、迷うことがあります。そんな時、主治医は緩和ケアチームに相談します。

一口に鎮痛薬といっても使用される薬は多種多様で痛みの種類に応じて、効果がある鎮痛薬の種類も変わります。また、鎮痛薬の種類によって副作用も異なってきます。
ここで私たち緩和ケアチームの薬剤師の出番です。
薬剤師は、主治医が得ている情報をはじめ、患者さんが服用している鎮痛薬の種類、用量、疼痛時に使う鎮痛薬を一日に何回服用しているかなどカルテから情報を集めます。

患者さん本人ともお話をして、痛みの強さや鎮痛薬を使い始めて痛みがどう変化したか、など聞き取りをします。
ときどき、医療用麻薬について不安があり、実は痛いけれど飲まずに我慢している患者さんに出会うことがあります。
そんなとき、薬剤師はその誤解を解くために、医療用麻薬は正しく使用すれば安全であること、痛みは早めに抑えることで日常生活への悪影響を最小限に抑えることができることなどをお話します。

その後、緩和ケアチームで情報共有、十分に意見を交換し、チームとして最適と考える薬を決定し、主治医に提案するのです。痛みの強さに応じて少しずつ調整を行い、効果も実感できて副作用も少ない、最適な量を決定します。
患者さん本人はもちろんですが、いつもケアに携われる看護師さんなど周りの医療スタッフの意見も取り入れながら、痛みが落ち着いているか、日常生活はどのような変化をしたか確認して、緩和ケアに活かしていくのです。

次に「薬剤の種類」についてです。
入院中の患者さんの中には飲んだり食べたりすることが負担となってしまう場合もあるので、負担とならない製剤を選択することもあります。
また、痛み止めである医療用麻薬を飲み薬で使っていた患者さんが、病状が進行するなどしてつらくなり、飲み薬から注射薬に変更するときがあります。

ここで私たち薬剤師の出番です。
飲み薬から注射薬に変更する時は、薬の量を注射薬用に変更する必要があります。
薬剤師は、薬の特性を理解し、最適な量を算出します。加えて、いつからその注射薬に変更するのかスケジュールを考えます。情報をまとめ、医師に提案します。同意を得られたら、医師と一緒に注射薬の組成や投与速度を考えて、医師の処方の手助けをします。

お薬が処方されたあとは、内容に問題がないか、安全に使用できるかなど、他の薬剤師に必ずチェックしてもらい、お薬を病棟スタッフにお渡しして患者さんへの投与に至ります。
投与開始となった後は、症状が悪化していないか、副作用が発現していないかなどを患者さん本人や医療スタッフに聞き取りをしながら最終チェックを行います。
このように、緩和ケアチームにおいて薬剤師は薬にかかわる場面で重要な役割を担っています。

緩和ケアチームは病気の種類に関係なく、患者さんが自分らしく過ごせるようお手伝いしたいと考えています。身体や心のつらさを我慢せず、ぜひお近くの医療スタッフに「実はまだ痛みがあって」と一言ご相談してみてください。

私たち東京ベイ緩和ケアチームは、皆さんからの「我慢しない本音」を心からお待ちしています。

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