栄養に関わる医薬品とは?
こんにちは、栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)担当の薬剤師です。
前回コメディカルのweb通信「1人の患者さんをみんなで支える~多職種連携の栄養管理~」にて、栄養室の栄養サポートチーム(NST)から紹介がありましたが、薬剤師も栄養サポートチーム(NST)に参加しています。
栄養サポートチーム(NST)は医師、薬剤師、管理栄養士、看護師、言語聴覚士などのメンバーによって構成され、それぞれが専門知識を発揮して栄養療法に携わっています。
栄養というと、食事内容や食生活といった印象が強いかもしれません。しかし、最適な栄養療法を提案するためには、疾患の状態や日々の身体観察、医薬品、リハビリの内容など多角的に考える必要があります。薬剤師が関わるところとしては、例えば栄養不足の場合や経口での摂取が困難な際に栄養点滴や経腸栄養剤といった“医薬品”が用いられている場合や、また、医薬品の副作用などによって栄養不足を生じている場合などがあります。
今回は、チーム医療の中で薬剤師がどのような業務をしているのか、その一例として栄養サポートチーム(NST)の薬剤師の仕事内容についてご紹介させていただきます。
まずはカンファレンス ~情報共有で問題点を提起~
患者さんのもとへ伺う前に、栄養不足の原因となっているのは何か、各職種がそれぞれの目線で問題点について話し合い、情報共有を行います。
栄養不足となる原因は様々ですが、医薬品の副作用が原因となる場合も多くあるため、薬剤師の立場からは、生じている問題が医薬品によるものなのかどうかを考えます。例えば、医薬品のなかには、味や匂いがわかりにくくなる、口の中が乾燥する、飲み込みが難しくなる、といった副作用が生じるものがあります。また、頻度が高い副作用として、下痢や吐き気などの消化器症状による栄養摂取量の低下が挙げられるため、このような症状がある際には症状の程度や経過を他の医療従事者に確認したりします。
他にも、食事の摂取が難しく点滴の医薬品から栄養の摂取をしている患者さんの場合には、点滴に含まれるエネルギー量や糖質、たんぱく質、脂質などが適切に配合されているかを確認し、充足していなければ必要栄養量を計算します。

いざ回診! ~現場で情報収集→再カンファレンス~
カンファレンスを行ったあとは、実際に患者さんのもとに伺います。
カルテに記載されている体重はむくみによる水分が多いのか?脂肪が多いのか?吐き気が生じている場合は、動いた後に吐き気がするのか?一日中吐き気が続くのか?運動量はどれくらいか?食事をするだけの活気があるか?などなど…カルテだけではわからない情報を、実際に患者さんの状態を見て得ることができます。
回診後にはチーム内で再度話し合いを行い、今後の方針を確認します。栄養不足の原因として医薬品が関連している可能性がある場合には、主担当医師に原因薬剤の中止・減量や代替薬剤の提案を行います。栄養を食事と点滴の両方から摂取している場合などは栄養士から摂取している食事の状況を聞き、嚥下機能についてであれば言語聴覚士からの評価を共有して内服薬の服薬が困難でないかどうかを確かめるなどもしています。
適切な栄養管理のために
適切な栄養管理は病気の治癒の促進や、感染症などの合併症の予防と繋がっており、治療のためにも栄養管理は必要不可欠なものです。こうしてチームで意見を交わしながら患者さんに最適な栄養管理を行えるよう日々活動していますので、入院中など、なにかお困りのことやご不明な点がありましたらご相談ください。

