お子様にお薬を飲んでもらうために~薬剤師からのアドバイス~

こんにちは。小児科病棟の薬剤師です。

お子様にお薬を飲ませるときに、お薬の飲ませ方がわからなかったり、お子様が嫌がったりして、うまくいかなかった経験はありませんか?
お子様が錠剤を飲めるようになるのは、個人差がありますが、5歳~10歳くらいと言われています。錠剤が飲めないお子様には、シロップやこな薬が処方されます。シロップは保護者の方がボトルから1回分の量をとりわけるので、うっかり量を間違えて与えてしまう事故がおきやすかったり、甘いため菌が生えやすく保管がしづらいので、当センターでは基本的にこな薬で処方をしています。
今回は、こな薬を中心に、お子様へのお薬の飲ませかたのポイントについてお話しします。

~お薬ってどうやって飲むの?~

こな薬の飲ませ方は、水に溶かして飲ませる方法や、団子状に練って口の中に塗る方法などがあります。いずれの場合も、水を加えるのは、必ず飲ませる直前に行ってください。時間がたつと苦みが出たり、効果が弱くなってしまうことがあるためです。

  • 水に溶かして飲ませる場合
    少量の水で溶き、小さなスプーンやスポイトを用いて、お子様の口の奥に少しずつ流し込んでください。お薬を飲んだ後は、水やぬるま湯を飲ませましょう。
  • 団子状に練って口の中に塗る場合
    団子状に練る時は、お皿の上にお薬をのせて、1~2滴の水を垂らし、清潔な手で練って丸めます。練って丸めたら、上あごやほおの裏側に塗ってください。そのままだと口から出してしまうことがあるため、すぐに水やぬるま湯を飲ませてください。
  • 服薬補助ゼリーの使用
    そのほかに、市販されている服薬補助ゼリーを用いてお薬を飲ませる方法もあります。服薬補助ゼリーは複数のメーカから色々な味が発売されています。種類によっては、お薬の苦みを強めてしまう場合があるので注意が必要です。心配な場合は薬剤師に相談してください。
  • 注意点
    ご飯やミルクにお薬を混ぜることで、ご飯やミルクを嫌いになって食べなくなってしまったり、飲食物の成分とお薬の成分が合わさることで、お薬の効果が低下してしまうことがあります。こな薬は、原則として、水で溶かして飲ませてあげるようにしてください。

~お薬が苦い!?特に注意が必要なお薬~

元々のお薬の成分が苦く、そのままでは飲みにくいため、苦みをやわらげるコーティングをされて販売されているお薬があります。マクロライド系といわれる一部の抗生物質がその代表で、たとえば「クラリスロマシイン」「アジスロマイシン」といった成分のお薬があげられます。

お薬と酸性の飲料(オレンジジュース、乳酸菌飲料、スポーツドリンク、ヨーグルト、一部の服薬補助ゼリーなど)を混ぜると、コーティングがはがれて苦みが増してしまいます。一緒に混ぜることでお薬が飲みやすくなる飲食物もあるため、詳しくは薬剤師が個別に説明させていただきますので、ぜひ相談してください。

~お薬が飲めたらほめてあげましょう!~

お子様が大きくなるにつれて、話せる言葉や出来ることがどんどん増えていきます。個人差がありますが、およそ1歳半~4歳くらいから、「イヤ!」「これがいい!」といった自己主張が増えるといわれています。この時期はお子様がお薬を飲むのを嫌がることがあります。このような場合には、お子様にお薬を飲む理由を説明することで、飲めるようになることもあります。たとえば、「○○ちゃんがお熱と咳が出ているのは体の中でばい菌が悪さをしているんだよ。このお薬は、ばい菌をやっつけてくれるんだよ」などと、やさしく説明してあげるとよいでしょう。

お薬を上手に飲めたときはほめてあげましょう。ほめてもらうと、次もがんばってお薬を飲むようになることがあります。お薬を飲めないとつい叱ってしまいがちですが、きつく叱りすぎるとお薬が嫌いになってしまうことがあるため注意が必要です。

~最後に~

お薬は必ず医師の指示通りに使用してください。保護者の判断で勝手に中止したり、飲み方・使い方を変えるのは避けましょう。お薬が飲めないときは、ぜひ薬剤師に相談してください。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 小児科

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