お子さんの『食育』について考えてみませんか?~管理栄養士からのメッセージ~

こんにちは。小児科病棟担当の管理栄養士です。今回『食育』についてお話しいたします。

~食育とは?~

2005年に制定された食育基本法のなかで『食育』は以下のように位置づけられています。

  1. 生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの
  2. 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を習得することができる人間を育てること

つまり、心も体も「食」の上に成り立ち、「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むということです。

~なぜ食育が必要なの?~

『食育』が重要視されるようになった背景には、さまざまな「食」の問題があげられます。たとえば・・・

  • 栄養バランスの偏った食事とそれに伴う生活習慣病の増加
  • ライフスタイルの多様化による「孤食(子どもが一人で食事をとること)」の増加
  • 過度の痩身(やせ)志向など

「食べる」ことは生涯にわたって続く基本的な営みであり、特に子どもの頃の食生活は大人になってからの食習慣に大きく影響します。したがって、離乳食を開始する乳児期から自ら食べるものを選択できる大人まで『食育』は重要です。

~入院中の食事~

当センターでは、入院中は医師の指示のもと病気や年齢に合わせた食事を提供しています。しかし、食形態や嗜好は子どもによって様々です。管理栄養士は自宅での食形態、嗜好、アレルギーを確認し、出来るだけ自宅での食事に近づけるよう調整しています。食事の摂取が進んでいない子どもがいれば、病室に伺い摂取状況を確認しています。

たとえば、のどが痛い、発熱していて食欲がない、という場合には症状に合わせて食べやすいものを提供しています。肉や葉物をのみ込むのが苦手、緑色の野菜が嫌いなどの場合には、出さないようにするのではなく、細かくする、柔らかくするなど形態を調整して食べられるように工夫をします。“嫌いなもの=食べなくていいもの”ではありません。食べられるように形態を工夫するだけでなく、看護師や病棟保育士とともに声掛けをおこなっています。こういった工夫は、ご家庭でも参考にしていただけるのではないかと思います。

~食育は家庭から~

学校でも授業や給食を通して食べ物の生産過程や食文化について学ぶ機会はありますが、家庭での習慣づけが特に大切です。家族みんなで楽しく食卓を囲み、「“食べる”ことが楽しいことだ」と知ることは、「食」への関心を高める第一歩になります。食事が空腹を満たすだけの時間にならないよう、ご家庭でも食環境を整えることから『食育』を始めましょう。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 小児科

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