こんにちは。東京ベイの小児科です。今回は、「子供の発熱」についてお話しします。
<熱の主な原因〜子供が熱を出すのは?〜>
子供の熱には様々な原因がありますが、ほとんどが軽症のウイルス感染症です。一般的に「風邪」と呼ばれるものは、医学用語では「上気道感染症」といいます。発熱以外に、鼻みずやせきを伴い、多くは症状から判断が可能です。診察上は咽頭発赤(ノドが赤くなる)を認め診断に至ります。また嘔吐や下痢を伴うものは「急性胃腸炎」といいます。
<その他の感染症>
一般的な軽症のウイルス感染症による風邪以外に、季節性に流行する感染症もあります。有名なものにインフルエンザやプール熱などがあります。多くは学校や保育園、幼稚園などで流行します。
春に流行する感染症・・・
A群レンサ球菌(溶連菌)
水痘ウイルス(みずぼうそう)
ムンプスウイルス(おたふくかぜ)
夏に流行する感染症・・・
エンテロウイルス(手足口病、ヘルパンギーナ)
アデノウイルス(プール熱)
細菌性腸炎(サルモネラ、カンピロバクターなど)
冬に流行する感染症・・・
インフルエンザウイルス
ノロウイルス
ロタウイルス
RSウイルス
<自宅での対応〜子供が熱を出したときはどうすればいいの?〜>
ほとんどのウイルス感染症は治療を要することなく自然に治癒します。抗生物質はウイルス感染症には効きません。なので、熱があっても①活気があり機嫌が良い、②食欲があり水分摂取もできる、③十分に睡眠が取れている、これらの場合には自宅で様子をみていて大丈夫です。
熱が上がり始めるとき、身体は体温を上げようとブルブルと震えること(悪寒戦慄)があります。手足も冷たくなって(四肢冷感)しまいます。このような症状が認められる場合には身体を温めてあげましょう。
一方、熱が上がりきると、体温を下げようと身体は汗をかき始め、手足も温かくなってきます。こうなれば次は体を冷やしてあげましょう。氷まくらや冷却シートで頭や額を冷やす方法は一般的ですが、解熱効果は少ないとされています。実際にはわきの下(腋窩)や足の付け根(鼠径部)を冷やしてあげるのが効果的です。
<解熱剤の使用方法~熱さましは使った方がいいの?~>
解熱剤は体温を一時的に数時間下げるものであり、病気を治す薬ではないので、必ず使用しなければならないものではありません。ただし、前述した①〜③に反して全身状態が良くない場合、例えば①熱が高くグッタリしている、②食欲がなく水分がとれない、③熱でうなされて眠れない、などの場合には解熱剤を使用し経過をみるのが良いでしょう。必ずしも平熱まで下がらないかもしれませんが、高熱によるつらい症状が軽くすることが目的です。
<小児科受診のタイミング~どういうときに受診すればいいの?~>
お子さんが発熱したからといって、あわてて受診する必要はありません。夜間であればなおさらです。前述の通り、自宅でご家族が十分にケアを行ってからでも決して遅くはありません。ホームケア(自宅での対応)を行い、それでも活気がない、水分が取れないなどであれば医療機関を受診しましょう。
ただし、生後3か月未満の乳児期早期の発熱、意思疎通がとれないほどグッタリしている場合、発熱に伴って痙攣した場合などは重症感染症が隠れている可能性があります。また熱が数日間以上続く場合にも重症感染症が隠れていたり、ウイルス感染症以外が原因となっている場合があるので、医療機関(お近くの小児科の先生)を受診しましょう。
私たち東京ベイ小児科のスタッフは浦安・市川地区の小児医療に少しでも貢献できればと、日々努力しています。また、このweb通信を通じて、お子さんを持つ保護者のみなさまのお役に立てるよう、情報を発信していきたいと思っています。
文責:玉貫 啓太