病棟保育士は子どもと親の心強い味方〜心も体もケアして、入院中も子供たちの笑顔を守ります〜

みなさま、病棟保育士をご存じでしょうか?病気になり不安を抱える子どもとその親に安心した入院生活を送ってもらえるように、病棟看護師とともに病棟保育士はとても心強い存在です。病棟保育士の主な仕事内容には「個々の発達に応じた生活支援」「心のケア」「家族へのサポート」「医師や看護師など多職種との連携」があります。

対象年齢は0歳から18歳、それぞれの発達段階や、個々の家庭環境や生活状況などに応じた個別的な関わりが求められます。病棟保育士が日々、どのようなことを大切にして子どもや親と接しているのかを紹介します。

病棟保育士として大切にしていること

4階南病棟でも1名の病棟保育士が活躍しています。
彼女に病棟保育士として大切にしていることを聞いてみました。

ひとつは「心強い味方となれるように子どもの視点に立った関わりや、安心して過ごせる環境・雰囲気づくりを心がけている。」ということでした。保育士として子どもの成長発達に必要不可欠な“遊び”を入院という環境でも提供していきたいと考え、個々に合った遊びの提供を考えるようにしています。

また、入院という不安や恐怖心を抱きやすい状況だからこそ、子どもの理解者である親と密に連携し、家庭での状況を教えてもらいながら、入院生活という限られた時間で信頼関係を築けるようにアプローチをしています。そして、子どもたちの「つらい。」「苦しい。」「寂しい。」という気持ちを受け止め、「頑張る。」「楽しい。」という気持ちに変えること、一緒に乗り越えていけるように頼れる存在になれるように関わっています。

もうひとつは「対象は子どもだけではなく、突然入院を余儀なくされる親の負担軽減や、付き添いの有無に関わらず親の安心感が子どもの安心感につながるため、親の気持ちに寄り添うことを大切にしている。」ということでした。

小児科の対象は子どもだけではなく、子どもをサポートしている親への関わりも大切にしていることを教えてくれました。子どもの一番の理解者である親にも、孤独にならないようにきめ細やかな気配りや言葉かけを心がけ「この人なら話してみようかな。」「相談してよかったな。」「心強い味方がいる。」と感じてもらい、親も病気と向き合いながら子どもとともに成長できるようにサポートしていけることを目指しています。

コロナ禍の戸惑いのなかで…

とはいえコロナの流行により、様々な制限で戸惑うこともありました。感染対策が最優先されたことで、小児科病棟ならではのイベントが中止、他児との接触を避けるために子ども同士の繋がりが持ちにくい状況、面会制限による入院中の子供と親が会えない環境や心の負担、より一層の感染対策を考えた療養環境の提供など、これまで当たり前だったことができなくなり苦悩することもあったそうです。

保育士の彼女から「子ども同士の繋がりを持ちにくい状況は、同年齢の子ども同士の関わる経験を奪ってしまうことであり、成長発達を考えると戸惑いもありました。でも、コロナ禍でもできることはないか考え、距離を保った空間での遊び、時には看護師と協力し、看護師対子どもでできる“ごっこ遊び”を取り入れる工夫をしてみました。」という、コロナ禍でも子どもに寄り添えることを考え関わろうとしている前向きな言葉を聞かせてもらいました。

また、面会制限により、退院するまで子どもと親が会えなくなる状況で、子どもも親も不安や孤独感を抱え入院生活を過ごすことを余儀なくされています。このような状況だからこそ、「子どもは一人で頑張らなければいけない心身の負担、親は入院による戸惑いとともに子どもがつらい時に一番傍にいて支えたいと思っているができないことへのつらさがあると思う。子どもと親が離れることの不安感を以前より意識するようになり、どちらにとっても少しでも安心した時間が過ごせるように一番近い存在でいられることを意識している。」と語ってくれました。実際、「寂しい。」と泣いていた子どもが彼女の関わりで楽しく遊ぶようになり、「今日は保育士さんいる?」と心待ちにしていることもあります。

また、親から「保育士さんに話を聞いてもらえて不安が減りました。」「入院してからやっと子どもが笑ってくれて安心しました。」という感謝の気持ちを伝えられることもあります。彼女が子どもや親の気持ちを受け止め、保育士ならではの視点で感じたことや考えたことを伝えてくれることで、よりその子の気持ちに寄り添った看護を考えるきっかけをくれることもあります。

小児科病棟として大切にしていきたいこと

「withコロナ」を意識した取り組みを考える機会が増えていますが、コロナの流行により変化したこともあるとはいえ、入院した子どもを支援するために大切にすることはコロナが流行する前と変わらないのではないかと感じます。子どもも親も安心できる入院環境を提供するために、それぞれの職種の視点から、その子どもに寄り添った関わりを考え、協働していくことを大切にしてチームとして子どもたちを支援することを大切にしていきたいです。病棟保育士の役割を知ることで、看護師としてできることは何かを考え、保育士と協力し合っていきたいです。

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