赤ちゃんのブツブツ〜生まれてから1歳までの皮膚トラブルとスキンケア〜

今回は、生まれてから1歳までの赤ちゃんによく見られる湿疹についてお話します。

<赤ちゃんの皮膚の特徴>

赤ちゃんの皮膚は一見モチモチ・スベスベ肌ですが、実際は皮脂の分泌量が少なく、非常に乾燥しています。そのため、もともと赤ちゃんの皮膚はとても湿疹ができやすい状態になっています。

<スキンケアについて>

湿疹の予防でいちばん大切なのは、「スキンケア(洗浄・保湿など)」です。赤ちゃんの皮膚トラブルのほとんどは、スキンケアをしっかりすることで良くなります。

洗うときは、石鹸をよく泡立てて、手で洗いましょう。ガーゼやタオルより手で洗う方が刺激が少ないです。首周り、わき、手足などの皮膚と皮膚の間の洗いにくいところもしっかり洗って、しっかり洗い流しましょう。

保湿剤は、一般のドラッグストアなどに売っているもので構いません。軟膏、クリーム、ローションといろいろな性状があるので、塗る皮膚の部分や季節によって使いやすいものを選んでください。お風呂上がりや朝などに1日2回程度、ガサガサしていなくても全身に塗りましょう。頭皮に塗っても問題ありません。

ニキビのような湿疹ができることもあります。脂漏性変化と呼ばれるもので、その周囲の皮膚はとても乾燥しているため、しっかり保湿をしましょう。保湿する方が悪化を防ぎます。

口周りの湿疹は、よだれや食べ残しで皮膚が刺激されることが原因です。離乳食が始まり食べ残しを拭くときは、ウェットティッシュなどでこすらないように拭き取りましょう。赤くなりやすいなど肌が敏感な赤ちゃんには、食後に口周りを水洗いし、保湿をしてあげましょう。こまめに拭くことが大切です。

<乳児期に多い湿疹について>

乳児湿疹

生後1か月〜3か月頃、特に顔にできやすい湿疹です。ほとんどがスキンケアをしっかりすることで良くなります。かゆそうな素振りを見せることはあまりありません。1歳くらいを目処に目立たなくなることがほとんどです。

アトピー性皮膚炎

乳児湿疹と区別が難しい湿疹です。赤みが強く、かゆそうにする(顔をこすりつける、手で耳や頬をこする、頭部を爪で引っかくなど)ことが2〜3か月以上続くことが多いです。特に関節の内側や首周りが湿ってジクジクしている場合、耳たぶの下が切れている場合などはアトピー性皮膚炎の可能性が高く、スキンケアに加えて塗り薬での治療が必要になります。医療機関を受診しましょう。
↓アトピー性皮膚炎について、詳しくはこの記事も参考にしてください↓
なかなか良くならない小児のアトピー性皮膚炎・小児アレルギーエデュケーター(PAE)と取り組む治療戦略 ~3つのポイントを一緒に確かめて実践しましょう~

汗疹

赤いブツブツであればいわゆる「あせも」です。汗の出る汗腺という部分に小さな水疱ができることもあります。涼しい環境にいれば自然に治ることがほとんどです。保湿は中止せずしっかり行う方が悪化を防ぎます。

おむつ皮膚炎

「おむつかぶれ」のことで、おしりの皮膚が尿や便と接触し刺激されることで起こります。そのため、いちばんの予防はおむつをこまめに取り替えることです。おしりが少し赤くなったら、市販のおむつかぶれ用の軟膏で構わないので、おむつを取り替えるたびに塗ります。尿や便と皮膚の間にバリアを作るように厚めに塗りましょう。その都度無理にこするように拭くことも刺激となってしまうので、できれば水洗いなどできれいにしてあげてから塗りましょう。汚れた軟膏が落ちにくい場合は、オリーブオイルやサラダ油などを使うとこすらずにきれいに落とすことができます。

以上が乳児期に多い湿疹です。乳児湿疹・汗疹・おむつ皮膚炎といったものは、だいたいがしっかりとスキンケアや予防をすることで良くなります。しかし、中にはなかなか治らなかったり、悪化してしまったりすることもあります。その場合はアトピー性皮膚炎のように塗り薬での治療が必要になるため、お近くの小児科、皮膚科の先生に診てもらいましょう。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 小児科

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