痙攣とは、大脳の神経細胞の異常興奮によって生じる病態ですが、小児は成人と異なり大多数が「熱性けいれん」という良性の疾患です。
しかし髄膜炎、脳炎・脳症、脳腫瘍、頭部外傷、その他全身性代謝性疾患に伴う痙攣でないことの確認は重要です。
熱性けいれんは、日本での発症頻度は多く約8%の児に発症するといわれています。
体温が38℃以上の生後6ヵ月から5歳までのお子さんに多く生じます。
一部のお子さんでは6歳以降にも発熱時に痙攣を生じやすい方がおられ、近隣のクリニックの先生方からご紹介いただいております。
それぞれのお子さんの経過を伺い、必要に応じて当センターで検査をさせていただき、以降の発熱時の対応を検討させていただいています(検査よりもお子さんの痙攣や発達の経過が大切です)。
多くの方が、7~8歳で発熱時の痙攣は治まっていきます。
一方、発熱時であっても生後6ヵ月以前での痙攣は、精査や注意深い経過観察を要します。
また、熱性けいれんを繰り返すお子さん(主に3回以上)や痙攣重積(約20分以上の痙攣)既往のあるお子さんの一部には、発熱時に痙攣予防の坐薬を使用する方法をおすすめしています。
ご自宅では、痙攣時に動揺しがちですが、様子をよく観察していただくことが大切です。
観察のポイントは、「どれだけの時間痙攣していたか?」「痙攣時には、手足はどのように動いていたか(左右の違いは無かったか)?」「痙攣時には、目つきはどのようであったか?」などです。
痙攣時には、口の中に箸や手を入れることはせず、楽な姿勢で休ませ、吐物があれば誤飲しないよう横を向かせてあげてください。
熱性けいれんの既往のあるお子さんへの解熱剤の使用については、賛否両論あります。
しかし、解熱剤使用により熱性けいれんが誘発される根拠もなく、解熱剤使用により熱性けいれんが予防できる根拠もありません。
したがって、解熱剤の使用については、必要時には可能と考えています。
その他、小児期の痙攣性疾患には「てんかん」がありますが、良性のものも多く、きちんと治療すれば数年の経過で完治できるものがほとんどですので、ご心配の際はご相談ください。