1歳前の赤ちゃんを小児外科で診てもらうべきタイミングは?~こんなときは医師にご相談を~

こんにちは。東京ベイ小児外科です。
小児外科は、お子さんの外科的な病気のうち、心臓や脳、骨・関節などを除いた比較的広範囲を担当しています。でも、1歳にならない赤ちゃんが小児外科の外来にかかるときとは、どんなときなのでしょうか。

ここでは、赤ちゃんとそのご家族に小児外科外来への受診をお勧めする病気の代表的なものをご紹介します。

顔、くびの病気

●副耳(ふくじ)
耳の前や頬に小さないぼ状の突起がひとつもしくは複数個みられ、ときにはくびにもみられます。根元に軟骨を伴うことがあり、切除を希望される場合は全身麻酔での手術になるため、手術時期は早くとも1歳前後が目安となります。とくに症状はないため急ぐ必要はありませんが、気になるときはいつでもご相談ください。

●瘻孔(ろうこう)
耳の前や耳介の付け根に小さなあながあいている耳前瘻孔や、くびにあながある頚部瘻孔などがあります。じゅくじゅくすることがあり、腫れたり膿が出たりなどの感染を起こす場合には切除することが勧められます。表面のあなから続く管を取り切らないと再発するため、感染した直後の手術はできません。

●舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)
舌小帯は舌の裏側でまんなかに付いている膜ですが、これが短くつっぱっていると、舌の動きが制限されます。前にのばすことができないので、大きな子では「あっかんべー」をしてもらうと舌のまんなかがひきつれてハート型にみえます。赤ちゃんではほぼもんだいになることはなく、緊急性はありませんが、ときに哺乳や発音に影響することがあります。強くつっぱるようであれば、全身麻酔下でひきつれを解除するための手術を行います。

●リンパ管奇形(リンパかんきけい)
リンパ液をためた袋ができてやわらかいしこり状になる病気で、からだの表面では、くびやわきに多くみられます。しこりの大きさやできた場所、まわりの臓器との位置関係によって、内服薬(一部の漢方薬で効果がみられています)、手術などの治療を検討しますが、まずは超音波、CT、MRIなどの画像検査を行う必要があります。

おへその病気

●臍肉芽(さいにくげ)
へその緒がとれたあとがじゅくじゅくして乾かないとき、おへそのくぼみの底に赤いしこりが残っていることがあります。根元を糸でしばったり、硝酸銀という薬を塗って化学的に焼く治療を行います。おへそがじゅくじゅくしていると、感染や周りのかぶれの原因となることがあるため、なかなか乾かない場合には受診が勧められます。

●尿膜管遺残症(にょうまくかんいざんしょう)
おへそがなかなか乾かず、さらさらした液がたくさん出るときには、胎児期に膀胱とおへそをつないでいた「尿膜管」という管が残っていて、おへそから出てくる液が尿である可能性があります。おへそのくぼみの底に小さなあな(瘻孔)がみられ、超音波検査や、状態によっては膀胱または瘻孔からの造影検査を行います。やはり感染の原因となることがあり、状態によっては早めの手術が必要となるため、受診が勧められます。

●臍ヘルニア(さいへるにあ)
いわゆる「でべそ」で、へその緒がとれたあと、生後1か月前後からおへそのふくらみが目立ってきますが、ほとんどは自然になおります。かなり大きく膨らむ場合には、皮膚がのばされすぎてそのまま残り、将来おへそがあまりくぼまないことがあります。ご希望があれば、綿などで上からおさえて圧迫する治療を行うこともありますので、気になる場合はご相談ください。

関連記事:
臍ヘルニア(さいへるにあ)~『赤ちゃんのでべそ』そんなに心配しなくても大丈夫です~
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/web07_18/

鼠径部、外陰部の病気

●鼠径ヘルニア(そけいへるにあ)
「脱腸」とも呼ばれ、左右の下腹部から足の付け根あたりがふくらむ病気です。泣いたり、いきんだりしておなかに力が入っているときの方が、ふくらみは目立ちます。ふくらんでいる部分には、おなかの中から腸管が出てきていることが多いのですが、女の子では卵巣や卵管が出ていることもあります。状況によって手術時期を検討しますので、一度受診してご相談ください。ただし、嵌頓(腸管がはまりこみ、かたくふくらんで痛がること)が疑われる場合には、そのまま放置すると腸管の血流がわるくなり、ときに緊急手術が必要となることもあるため、早めに受診してください。

関連記事:
ソケイヘルニアとは? -子供の足の付け根が腫れたときには-
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/inguinal-hernia/
ソケイヘルニアの手術が決まるまで -いつ手術すべきか?その方法は?-
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/web05_30/

●陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)
精巣のまわりに水がたまり、陰嚢がふくらんでみえますが、通常は痛がる様子はありません。赤ちゃんの時期の陰嚢水腫は自然に消えてなおってしまうことが多いのですが、鼡径ヘルニアを合併することもあるため、一度受診してご相談ください。その後、2~3歳まで陰嚢水腫が残っている場合には、自然に治る可能性は低くなるため手術が必要となります。

●停留精巣(ていりゅうせいそう)
精巣が陰嚢の中におりていないため触れにくい状態で、健診で指摘されることが多いです。生後すぐには触れにくくても、1歳頃までに自然におりてくることがあるため、急いで受診する必要はありませんが、なかなかおりてこない場合には手術が必要となります。

関連記事:
停留精巣と移動性精巣 ~ご自分のお子さんのおちんちんをしっかりと見たことはありますか??~
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/web04_04_02/

●精巣捻転(せいそうねんてん)
陰嚢が赤くはれて痛がる場合には、精巣につながる血管がねじれてしまっている精巣捻転の可能性があるため、早急に受診をすることをお勧めします。血管がねじれたままになっていると、精巣がダメージを受け腐ってしまうこともあるため、ねじれを解除するための緊急手術が必要となります。

関連記事:
~お子さんのおちんちんの玉が突然痛くなったら~ 小児外科医からみた精巣捻転症のリスク
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/web07_21/

●包茎(ほうけい)
陰茎包皮(おちんちんの皮)がむけない状態ですが、赤ちゃんではむけないことの方が多いので、とくに心配はありません。ただし、先が赤くなったり腫れたりしている場合は、包皮炎といって炎症をおこしている可能性がありますので、長引いたり悪化したりするようであれば受診をお勧めします。

●尿道下裂(にょうどうかれつ)
男の子の尿の出口が亀頭部ではなく、陰茎の途中や根元にあいている状態です。陰茎は前方におじぎするように曲がっていることが多いです。排尿することはできるので、急いで治療をする必要はありませんが、将来的には尿道を亀頭部までのばして尿の出口を亀頭部に移し、陰茎がまっすぐのびるようにする手術が必要となります。一度外来を受診してご相談ください。

●陰唇癒合(いんしんゆごう)
女の子の陰唇がまんなかで薄い膜状にくっついてしまっている状態で、陰部がふさがっているように見えます。くっついているところを剥がしてあげる必要があり、外来でも行うことができる処置ですが、状態によっては全身麻酔下に行うこともあります。また、超音波検査で子宮や膣の評価が必要となる場合があります。通常、排尿に支障はなく、緊急性はありませんが、一度外来を受診されることをお勧めします。

おしりの病気

●肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)
肛門のそば(多くは真横)にしこりができて、表面が赤く腫れて痛がるようになります。炎症がすすむと膿がたまってさらに腫れてしまい、ときに表面が破れて膿が出てくることもありますが、その前に膿を出してあげる処置が必要となることがあります。男の子に多く、1~2歳まで繰り返すこともあるため、状況や症状の強さによっては漢方薬の内服をお勧めしています。

関連記事:
肛門の周りにおできができたら~小児外科医がお話しする肛門周囲膿瘍(のうよう)の症状と治療~
https://tokyobay-mc.jp/pediatric_surgery_blog/web04_10/

●裂肛(れっこう)
いきんだり硬い便がでたときにおしりがきれて出血することがあります。ティッシュなどでおさえてすぐにとまるようならとくに心配はありません。あおむけに寝かせたときの肛門の真上の方向(時計でいう12時)が切れることが多く、その後、ヒダ状にもりあがってなおることがあります。1回の出血は少量であっても、たびたび出血がみられるようであれば、一度ご相談ください。

受診の目安のまとめ

今回ご紹介したものは、赤ちゃんとそのご家族に小児外科外来に受診することをお勧めする病気のごく一部です。ご自宅で気付かれたり、健診や予防接種のときに指摘されたりすることがあるかもしれません。症状を口で説明しづらい場合は写真や動画を撮っておくのもよいでしょう。気になるとき、さわると痛がり嫌がる、悪くなっているように見えるなどの場合は早めに受診することをお勧めします。受診するべきかどうか迷うときは、かかりつけの小児科で相談をするか、小児外科外来にお問い合わせください。

メニュー