小児外科医から見た「こどもの腸閉塞」~腹痛、嘔吐、おなかが張る、便が出ないなどの症状はありませんか~

はじめに

「腸閉塞」もしくは「イレウス」という病名を聞いたことはあるでしょうか。
腸というからにはおなかの病気だろうけれど、、、という方もいらっしゃるかもしれません。
今回はこどもの腸閉塞についてとりあげます。

腸閉塞とは

腸閉塞は、何らかの原因によって腸管の通過が悪くなっている状態です。
このため症状としては、腹痛、吐き気・嘔吐、おなかが張る、ガスや便が出ない、などがみられます。下血や脱水をともない、ぐったりしてしまうこともあります。

腸閉塞の原因となる病気は

おなかの診察と、検査としてレントゲン撮影、超音波、腹部CTなどを行います。
腸閉塞には様々な原因がありますが、次のような点に注意しながら、原因となっている病気を考えていきます(今回は各病気の詳細に関しては割愛させていただきます)。

  • 生まれた直後からの症状か
    機械的閉塞(腸管内腔が狭いまたは途切れている):先天性小腸閉鎖症、鎖肛など
    機能的閉塞(腸管の動きが悪い):ヒルシュスプルング病、甲状腺機能低下症など
  • 生まれて少したってからの症状か
    腸管の病気:壊死性腸炎、腸回転異常症・中腸軸捻転、腸重積、メッケル憩室、腸管重複症など
    内ヘルニア(おなかのなかにある穴やくぼみに腸管などの臓器がはまり込んだ状態)
    おなかの中の病気による腸管の圧迫:水腎症、腫瘍など
  • おなかの手術をしたことがあるか
    手術後の癒着(腸管どうし、または腸管と腹壁とがくっついてしまうことが原因)

腸閉塞の治療は

まず大事なことは、腸管の血行障害をきたす腸閉塞(絞扼性イレウス)に対しては緊急手術が必要であるということです。血行障害の原因を早急に手術で解除しなければ、腸管のダメージが大きくなり壊死に至る可能性があり、全身状態の悪化にもつながります。とくに、おなかの手術をしたことのないお子さんの腸閉塞に対しては、手術が必要な状態かどうか、慎重な判断が必要となります。

血行障害のない腸閉塞であれば、点滴と絶飲食による腸管の安静や、鼻から胃もしくは小腸まで届くチューブを挿入して腸管内にたまっているガスや消化液を体の外に流す処置(減圧)によって大部分は改善します。ただし、1週間近く治療しても効果が得られない場合や、腸閉塞を繰り返す場合には手術が必要となることもあります。

お子さんの気になる症状があれば、まずはかかりつけの医師へご相談ください。

メニュー