肛門の周りにおできができたら〜小児外科医がお話しする肛門周囲膿瘍(のうよう)の症状と治療〜

※写真はご本人、ご家族の許可を頂いた上で掲載させて頂いております。

「生後1ヶ月の我が子のお尻を見たら、肛門の近くが赤くパンパンに腫れていたんです!!」

このような訴えが肛門周囲膿瘍のお子さんを持つご家族の声です。肛門周囲膿瘍とは肛門の側方に大きな腫瘤を作り、そのまま放置していると腫瘤内の細菌が全身に循環して、生まれてすぐの新生児でも高熱が持続してしまう病気です。

<肛門周囲膿瘍の原因・症状>

肛門周囲膿瘍は男の子の発症が極めて多く、男女比は9対1以上であります。発症に関して大きく2つ原因がありまして、①オムツかぶれに伴う皮膚の炎症によるもの②肛門の内側に入口の穴ができて、その部位にうんちが溜まって腫瘤となったものであります。どちらもそのまま放置していると発赤が強くなり、膿みが徐々に溜まっていき、腫瘤が大きくなった後に自然に腫瘤が破れて膿みが染み出してきます。腫瘤から膿みが排泄されますと発熱などの症状は改善することが多いです。

しかし、抗生剤の軟膏を塗るなどの局所的加療のみでは炎症の再発症状は50−70%であり、一度治っても再発に注意しなければなりません。また一部のお子さんでは乳児痔瘻(常時小さな穴が空いている状態)を作ってしまい、外科的治療でないと完治しないお子さんもいらっしゃいます。

<当院小児外科での治療〜お子さんにできるだけ傷跡を残さずに有効な治療を〜>

肛門周囲膿瘍に対して最近では漢方薬による治療が一般的となっております。当院では漢方薬を2剤飲んでもらうことで、通常の漢方薬1剤よりもより強い抗炎症作用を得ることができます。実際の当院での経験では漢方薬1剤よりも漢方薬を2剤飲んでいただくことで再発率を抑えられている結果が出ております。

さて、肛門に針を刺して膿を出すことを医学的に切開排膿といいます。当院でも明らかに高熱が持続して来院される場合は切開排膿を行いますが、できる限り切開排膿を行わないようにしております。何故なら切開排膿を施行すると、その針穴はお子さんの皮膚に針の跡として残ってしまいます。そして針穴が塞がらない場合は先程記載させて頂いた乳児痔瘻といって肛門の部分にトンネル構造を作ってしまう病気になってしまうこともあります。

大人でも飲みづらい漢方薬をお子さんが飲めるのだろうかと心配されるご家族も多くいらっしゃいます。当院ではお薬用のシロップを一緒に処方して漢方薬をシロップに混ぜていただくことでほとんどのお子さんが漢方薬をしっかりと飲めております。また、オムツを頻回に交換して頂きお子さんのお尻を清潔に保つことも治療の上で非常に大切なことであります。その点に関しては、当院小児外科外来でご家族に指導をさせて頂いております。

お子さんのお尻に腫瘤が見つかった際はお気軽に当院小児外科外来にご相談ください。ご両親にとってかけがけのないお子さんに、できるだけ負担が少なく有効な治療を行わせていただきます。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 小児外科

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