椎間板ヘルニアの新しい治療法 ヘルニコア注入療法

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椎間板ヘルニアとは

脊柱を構成する椎骨と椎骨の間でクッションの役目をしているのが椎間板ですが、椎間板は周囲を線維輪、中心にはゼリー状の髄核が含まれる“アンパン”のような構造をしています。加齢変化や日常生活上の負担などで線維輪(パン)に亀裂が加わり、髄核(餡子)が飛び出てくることがあり、この飛び出した餡子のことをヘルニアと呼びます。ヘルニアが周囲の神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こします。
椎間板は椎骨の間にありますので、頭を支える頚椎から骨盤につながる腰椎まで脊柱すべての椎間で椎間板ヘルニアが生じる可能性がありますが、重い体を支えるために負荷が大きい腰椎で特に生じやすく、その中でも可動性の大きい下位腰椎(骨盤に近いところ)で発生する頻度が高くなっています。

画像提供:科研製薬株式会社

椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療方法は従来保存治療手術治療に分けられていましたが、2018年に使用開始となった椎間板内酵素注入療法は新しい治療方法で、保存治療と手術治療の中間的な位置にあたります。

① 保存治療

椎間板ヘルニアは自然に縮小することが多いので、発症初期は保存治療が基本となります。
保存治療とは、安静、コルセット、薬物療法、ブロック治療などをいい、薬物療法では痛みや炎症を抑える消炎剤、鎮痛薬を使用します。ヘルニア自体を治す薬ではありません。ヘルニアの縮小がどの程度期待できるかはヘルニアの飛び出し方にもより、一概には言えませんが、自然に縮小するヘルニアは発症から2~3ヶ月で急激に縮小し、症状も改善します。
ヘルニアが自然に縮小せず症状が長引いた場合や、痛み止めの治療に効果がなく、激しい痛みで日常生活に大きな支障が生じる場合、ヘルニアによる神経障害(足の動きが悪くなったり、排尿に障害が出現することがあります)が認められた時には保存治療の限界と考えて次の治療段階へ進むことを提案します。

② 手術治療

手術治療では出っ張ったヘルニアを直接摘出することができます。腰椎椎間板ヘルニアのほとんどは背中から切開を加えてヘルニアを摘出します。
近年は小さな傷で手術を行う低侵襲手術が広く行われておりますが、当院では20mmほどの傷で内視鏡を用いてヘルニアを摘出するMED法(内視鏡視下椎間板摘出術)あるいは顕微鏡視下にヘルニアを摘出するLOVE法で手術を行います。手術は全身麻酔で行い、1週間ほどの入院が必要となります。
直接ヘルニアを摘出しますので、一番確率高く、早期に除痛を図れる治療法と言えます。

③ 椎間板内酵素注入療法

椎間板に直接注入して椎間板ヘルニアの治療を行う唯一の注射薬「ヘルニコア」が2018年から使用が可能になりました。
ヘルニコアの有効成分であるコンドリアーゼは、椎間板内に直接注入することにより、髄核の主成分であるプロテオグリカンを構成するコンドロイチン硫酸を特異的に分解し、プロテオグリカンの保水能を低下させる酵素です。その結果、椎間板内圧が低下してヘルニアによる神経に圧迫が軽減し、痛みの改善が期待できます。
局所麻酔で行う治療ですが、当院では基本的に1泊の入院で行っております。再発や他椎間のヘルニアを含めて一度のみ使用できる治療薬です。

椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア治療)について

当院では手術室で治療を行います。
手術台にうつぶせで寝ていただき、X線をみながら該当する椎間板に針を刺して薬剤を注入します。手技自体は順調に進めば消毒から麻酔も含めて15分程度で終わります。
注射直後は薬による副作用がないかなどを確認するためにしばらく安静にしていただきます。

画像提供:科研製薬株式会社

酵素の作用による効果を期待するものですので、注射直後に痛みが消失する即効性はありません。早くて2~3週間で効果が表れてくるようですが、一般的には効果の発現には1~3ヶ月の経過観察が必要とされています。
アナフィラキシー(急性アレルギー発作)や針を刺した部位の痛みなどが副作用として挙げられますので、アレルギー体質の方への適応は慎重な検討が必要です。
また、ヘルニコアはすべての椎間板ヘルニアに適応になるわけではありません。現在使用が可能であるのは腰椎の椎間板ヘルニアに限られます。また、椎間板ヘルニアは髄核が線維輪を突き破って飛び出たものと説明しましたが、ヘルニコアは椎間板の内圧を低下させることで症状を改善させるものですから、線維輪の後方にある靭帯まで突き破って飛び出したヘルニアには適応になりません。MRI等で評価のうえ適応の有無を決めさせていただきます。

ヘルニコアは椎間板ヘルニアを縮小させる唯一の薬剤で、簡便で、一定以上の効果が期待できます。椎間板ヘルニアを長く患っている方は検討の余地があるかもしれません。一度ご相談ください。

2020年3月

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