へき地を「安心して子供を産み育てられる」場所へ〜東京ベイ助産師の地域支援〜

こんにちは。東京ベイの助産師です。

みなさん、助産師ってどんな仕事をするのかご存じですか。
ウィキペディアによると、「助産行為の専門職であり、妊娠、出産、産後ケア、女性の性保健、新生児ケアなどを分野とする」とされています。つまり『女性と家族に寄り添うことのできる専門職』と私は思っています。多岐にわたる助産師の役割のうち、今回はお産にまつわるお話をしたいと思います。

「産婦人科」とくに「産科」の現状は、産婦人科医師や助産師の不足により、地方に行けば行くほど分娩できる場所が制限されています。信じがたいかもしれませんが『お産難民』と言われる状況が、この日本でもあり得るのです。

例えば、離島に住む妊婦さんには、東京ベイでお産をして、落ち着いたタイミングで住み慣れた島に帰られる方もいらっしゃいます。東京近郊に住んでいると分娩できる施設を選択することができますが、地方に行けば行くほど少子超高齢化は確実に進行していて、『安心して子供を産み育てる』そのきっかけとなるはずの分娩施設に限りがあるのです。

東京ベイは地域医療振興協会内の施設であり、へき地を支援することも大事な役割の一つです。そこで今回約3か月間という長期間、同じ協会内の施設である静岡県の伊東市民病院で地域の産科を支援してきました。そんな助産師の1日を紹介します。

8:30

病棟で朝礼。
産婦人科外来で産婦人科医師とのその日の入院・外来患者のスケジュールの確認、申し送り。

9:00

外来診察介助、妊婦への保健指導など。外来終了後、片づけ、清掃。

昼食

職員食堂で定食や麺料理、カレーが日替わりで食べられます。おいしかったですよ。
売店もあり購入することもできます。

13:00

木曜日のみ 2週間健診の実施。1か月健診の保健指導。
~赤ちゃんの体重の増え方、授乳・乳房の状態、心配なことについてお聞きして、答えていきます。
産後うつの兆候がないか気を付けています。~

<外来診察室の様子>

*写真は患者さんの了承を得て掲載しています

翌日の外来患者の情報収集と準備。

入院しているお母さんと赤ちゃんがいるとき
お二人の健康チェック。
赤ちゃんの抱き方、おむつの替え方、母乳の飲ませ方、ミルクの飲ませ方、げっぷの出し方、泣いているときの対応の仕方などを、授乳のたびにお母さんと一緒にして、退院してお家でできるように指導します。沐浴を見学していただき、翌日はご自分の赤ちゃんを沐浴してもらいました。
退院後の生活のしかた、さまざまな手続きについて退院指導をします。

分娩の始まった産婦のそばに寄り添い、安全に進むように注意深く見守りながら、産婦人科医師と連携しながら、分娩を介助します。帝王切開になるときは、手術室までお母さんを送っていき、赤ちゃんを迎える準備を整えます。支援中に4人の赤ちゃんが生まれました。

産科経験のないスタッフや、久しぶりのスタッフに、「産婦、新生児のみかた」「産後大出血」「CTG(胎児心拍数陣痛図)のみかた」の勉強会とシミュレーション会を一緒に開催。パンフレットの作成など。

17:30 日勤終了

休日

伊豆に行くのは初めてだったので、オフの時間は観光三昧でした。

ペリーが上陸した下田のジャスミン香る了仙寺。伊東の小室山、大室山、伊豆高原、一碧湖。熱海の海と来宮神社。竹林の小径のある修善寺。三島のきれいな川のせせらぎ。テレビの〇〇〇島で芸能人が手作りしていた反射炉のモデルになった世界遺産の韮山反射炉など、休みのたびに車に乗って走っていました。

食べものもおいしくて、とくにお魚は安くて新鮮。浦安にいるときより、たくさん食べました。伊東での生活は時間軸がゆっくりしていたので、喫茶店でコーヒーを飲みながら、ぼーっと過ごす時間もありました。

日本の分娩数は、病院とクリニックの割合は半々です。助産師数は、病院が約6割、クリニック約4割です。また、都市部は多く、地方は少ない地域偏在の状態です。お産難民がこれ以上増えませんように・・・と願うばかりです。

日本のどこに住んでいてもお産の安全性を担保すること、そして私たち医療者の生活も担保しながら、我々助産師が日本のお産を支えていければと思います。そして、地域医療振興協会の地域支援システムは、地域のお産を支えることができるシステムだと信じています。

<伊東市民病院にはドクターヘリが対応できるヘリポートもありました>

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