ウィズコロナ時代にお産をされるみなさまへ~実際に新型コロナウイルス感染症の疑いがある状態でお産するときの対応について~

<はじめに>

新型コロナウイルス感染症と向き合い早いもので3年目を迎えることになりました。日本は第6波という大きな感染の波の中で、ウィズコロナについて真剣に考える機会も多かったと思います。一方で、新型コロナウイルス感染症は複数の株を持ち合わせ、オミクロン株やデルタ株など、それぞれの株には特性があり我々の生活に大きな影響を与え続けています。やっと感染者が減ってきたと、ホッとしたのも束の間でした。あっという間に新規感染者は増加し、見えない敵と対峙していく日々を繰り返しているような状況です。

だからこそ、分娩を迎える妊婦さんやその家族のみなさんはいつも以上に新型コロナウイルスに罹らないよう、十分注意して生活していることと思います。しかし、最善の注意を払っていても防げないことがあるのも現実なのです。
そこで、もしお産進行中に新型コロナウイルス感染症の疑いがあった場合どのように対応するのかについて紹介していきたいと思います。

<お産が、始まったかもしれない・・・>

まず、病院にお電話ください。助産師が問診します。お産の進行具合だけでなく、新型コロナウイルス感染症の症状についても質問します。
何を聞かれるのか心配しなくて大丈夫です。助産師が一つひとつ確認していきますのでご安心ください。

  • 現在の体温(電話中に体温測定をお願いします。)
  • 咽頭痛
  • 全身倦怠感
  • 呼吸苦
  • 鼻汁や鼻閉感
  • 下痢などの消化器症状
  • 味覚や臭覚の異常
  • 2週間以内で今住んでいる地域以外に行ったか
  • 身近な方にコロナ感染症やPCR検査を受けている人はいるか

上記について確認していきます。もしここで該当項目があれば、医師と相談し新型コロナウイルス感染症疑いとしてお産を観察していくことになります。入院時から疑いとして対応していくか、経過の中で疑いになるのかは分かりません。その都度、お産の経過の中で確認していくことになります。疑いがある場合は、残念ですがお産をする産婦さんは隔離され、ご家族も感染が否定できないために来院することも荷物を届けることもできません。隔離が解除できるまでは私たち医療スタッフも適切な感染対策を厳重に行い対応していく必要があります。

特に、小さなお子さんがいらっしゃる妊婦さんはお子さんの軽い風邪の症状が新型コロナウイルス感染症ということも否定できませんので、お子さんの状態も注目して欲しいポイントです。気づかぬうちに感染していることもありますので、いつもと違うと感じた場合は遠慮せずかかりつけ医に相談するようお願いします。

産婦さんが隔離されることになった場合、ご家族が産婦さんと連絡する方法はご自身の携帯電話しかありません。ですので、ご家族の方はいつでも電話が出来る状態(充電もしてある状態)にしておくことをお勧めします。

<実際にお産になったら・・・>

もし、疑いのままお産になった場合、赤ちゃんの感染リスクを減らすため産まれた赤ちゃんは速やかにお母さんと離します。残念ですが、一緒にいられる時間を作ることができません。もちろん、写真を撮ったりすることも、赤ちゃんに触れることもできません。赤ちゃんは小児科病棟で隔離された状態で入院となります。

新型コロナウイルス感染症が否定され、隔離が解除できたら母児共に健康状態を確認した上で母児同室が許可されます。それまでは、お母さんがお部屋から出ることを許可できないので赤ちゃんとの面会ができなくなります。
このように、感染対策をしながらお産をするということはいつも以上に制限が多く、出来ることより出来ないことのほうが圧倒的に多いのです。

<最後に>

現在、分娩立ち合いの再開の予定はありませんし面会制限の状況は変わりありません。だからこそ、新型コロナウイルス感染症の疑いの中でお産にならないように、妊婦さんだけでなくそのご家族の皆さんにもいつも以上に感染しないよう十分に注意して生活していって欲しいのです。なぜなら、感染者の多くはお産をする世代の人たちなのです。感染者との接触の機会が多い世代であれば、感染のリスクも低くありません。だからこそ、妊婦さんだけでなくご家族の協力が必要不可欠なのです。

そして万が一、妊娠36週以降で新型コロナウイルス感染症に罹ってしまった場合、お産を安全に進めていくために予定的に帝王切開術を計画していきます。これまで紹介したように出産後のお母さんと赤ちゃんはそれぞれ別々に隔離していくことになります。新型コロナウイルス感染症に罹った場合、隔離期間はさらに長くなり、母児分離された状態が長くなります。

母児分離をするお母さんや赤ちゃんをできるだけ少なくするためには、病院だけの対策ではなく、日常生活の中での感染予防が求められます。感染しない対策としては、やはり手洗いは重要です。そしてマスクを適切に使用する(鼻と口回りがフィットしたものを推奨)、ワクチン接種があります。そして、人が密集する場所や換気の悪い場所には行かない、など『3密』を避けるなど、感染対策についてもう一度みなさんにしっかり考えて頂きたいと思います。

とはいえ、赤ちゃんが産まれるとき全員がこのような対応となる訳ではありません。最近の新型コロナウイルス感染拡大のスピードが急速であり過去最大の感染者数を更新している状況なので、妊娠中の妊婦さんやそのご家族の皆様にも紹介してみたいと考えお伝えしました。

不安に感じられたこともあったかと思いますが、お産の経過は個人差があり一人ひとり違います。私たち助産師や産婦人科医師、小児科医師、小児科看護師など周産期チームで一人ひとり、安全なお産を目指しています。産婦さんがウィズコロナの時代でも、安心してお産に臨んでいただけるよう、サポートしていきます。産婦さんが私たち周産期チームの中で、無事に出産し退院できることを応援しています。

※ワクチン接種や産後のサポートについてはバックナンバーをご参照ください。

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