妊婦の方に知っておいてほしい新型コロナ感染症、ワクチン、胎児への影響〜産婦人科医がお話しします〜

<はじめに>

世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大しており、重要な対策としてワクチン接種が世界的に行われています。妊娠中の方やこれから妊娠を考えている方から、新型コロナウイルスに感染した場合どのような影響があるか、ワクチン接種をするべきか、また、接種した場合に妊娠に影響はないかなど、多くの不安の声を耳にします。妊婦とコロナウイルスに関連する研究は世界中で行われていて、段々と研究結果が蓄積されつつあります。それらの研究結果や学会が提言する妊婦の新型コロナワクチン接種に関する内容をお知らせします。

<妊娠中に新型コロナウイルスに感染するとどうなる?>

2021年6月に新型コロナウイルスに感染した31,016人の妊婦を分析した研究では以下の結果となりました。

  • 6人に1人が重症化
  • 4人に1人が早産
  • 肥満、喫煙者、糖尿病、妊娠高血圧腎症の女性で重症化しやすい
  • 重症化した場合、早産のリスクが2.4倍

日本だけのデータではないため全てが当センターの妊婦さんに当てはまる訳ではないですが、早産となれば新生児合併症が増える可能性が心配されます。
大切なことは、早産のリスクがあるとされる妊娠中の新型コロナウイルス感染を予防・重症化を回避することです。このようなリスクを考えると、妊婦さんにも積極的にワクチンを接種するという考えが世界的に主流になってきています。

<妊婦の新型コロナワクチン接種はいつから可能?>

以前の日本産婦人科感染症学会・産科婦人科学会のお知らせでは《現時点でmRNAワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠12週まで)は、偶発的な胎児異常の発生との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける》としていました。

その後、妊娠のどの時期でもワクチン接種により胎児異常や流産が特に増えないことがわかり、現在では接種によるデメリット(副反応など)よりメリット(感染予防、重症化防止)がはるかに大きいことがわかって来ました。

日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・日本産婦人科感染症学会が2021年6月17日に合同で発表したお知らせでは、「妊娠12週までは避ける」という表記はなくなりました。また、8月14日の第2報では《妊婦さんは時期を問わず、ワクチンを接種することをお勧めします。》との表記が追加され、加えて、《約8割は、夫やパートナーからの感染です。 そこで、妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをお願いします。》と説明しています。

<新型コロナワクチンの胎児への影響は?>

2021年9月3日に厚生労働省の新型コロナワクチンQ & Aには以下の内容が記載されています。

  • 副作用の頻度は非妊婦と同程度。
  • 流産、早産、胎児の発育不全、先天奇形、新生児死亡が起きる確率は、接種していない妊婦さんと変わらない。
  • mRNAワクチンを接種した妊婦さんからは、胎盤を通して赤ちゃんに新型コロナウイルスに対する抗体が移行するので、生まれたばかりの赤ちゃんを守ることができる。
  • 発熱や頭痛時にはアセトアミノフェンが使用可能である。

<最後に>

現在、新型コロナウイルスの更なる研究・解析が行われており、随時厚生労働省や産科婦人科学会のホームページで随時新たな情報が更新されます。また、妊婦さんは新型コロナワクチンの予約が優先される自治体が多いので自治体のホームページ等でご確認ください。

これらの現状の知見より、新型コロナワクチン接種をご判断ください。また、疑問点等ございましたら担当医にご質問ください。

<参考文献>
新型コロナワクチンに関するQ & A(厚生労働省)
新型コロナウイルスワクチンで赤ちゃんも守られると期待されています。
(川口市立医療センター)(PDF)

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