妊婦健診で調べている感染症 ~vo.2 培養検査編~

こんにちは。産婦人科医師です。
前回から2回にわたって妊婦健診で検査している感染症について少し詳しくお話しています。今回は産道の培養検査についてお話したいと思います。

血液検査については前回の記事をご参照ください。
参考記事「妊婦健診で調べている感染症 ~vo.1 血液検査編~」2021年4月21日掲載記事
https://tokyobay-mc.jp/obstetrics_gynecology_blog/web05_49/

《産道の培養検査》

クラミジア抗原、B群溶血性連鎖球菌

《クラミジア》

クラミジア・トラコマティスは性行為により子宮頸管細胞に感染し子宮頸管炎の原因となります。子宮内膜炎や卵管炎、付属器炎を引き起こすことがあります。帯下異常や性交時出血、下腹部痛、上腹部痛などが主症状といわれていますが、性器クラミジア感染症にかかった女性の約90%が無症状であるため、無治療で放置されることが多いといわれています。

妊娠中のスクリーニング検査は赤ちゃんの産道感染を予防する目的で行われます。赤ちゃんがお母さんの産道を通るときに感染することで、新生児クラミジア結膜炎、咽頭炎、肺炎などが引き起こされます。
検査を行う時期はとくに決まっていませんが、検査結果が出るまでの期間や陽性であった場合の治療期間を考慮して、妊娠30週までに行われることが多いです。

陽性であった場合には、アジスロマイシンやクラリスロマイシンなどの抗生物質の経口投与が行われます。治療判定は3週間後以降に行われ、陽性が続いた場合には再度内服をしていただきます。また再感染を防ぐ目的で、パートナーの検査・治療も同時に行うことをお勧めします。

《B群溶血性連鎖球菌》

B群溶血性連鎖球菌はGBS(group‒B Streptococcus)とも呼ばれ、約10~30%の妊婦さんの腟や直腸の中から検出される、よくある細菌(常在菌)のひとつで、お母さん自身にはほとんど影響はありません。しかし、産道で赤ちゃんに感染すると、発生頻度はとても低いものの重症感染症を引き起こす可能性があるため、スクリーニング検査を行っています。

妊娠中にGBS感染に対して治療をしてもまた陽性になることが多いため、分娩の時期が近付いた妊娠35~37週頃に産道の培養検査を行っています。検査の結果、GBS陽性であったお母さんには、分娩時にペニシリン系抗生物質を点滴投与することで母子感染を予防します。しかし点滴を行っても赤ちゃんの感染を完全に防止することは難しく、またGBS陰性であっても赤ちゃんに感染が確認される場合もあります。そのため、産まれた後は赤ちゃんの全身状態をしっかり観察し、感染を疑う兆候があれば小児科の先生による検査や治療を行っていきます。

今回、お話させていただいた感染症は一部に過ぎませんが、少しでも不安や心配が解消できたら良いと思います。妊娠中に気を付けなければいけないことが他にもたくさんあります。心配なこと、困った症状などがあった際にはかかりつけの産婦人科医、助産師などに相談してください。

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