皆様こんにちは。産婦人科担当の薬剤師です。
今回は、これからパパとママに知っておいて欲しい、妊娠中に薬を使う際の注意点をお伝えしたいと思います。
赤ちゃんへの薬の影響について
赤ちゃんへの薬の影響は、妊娠週数によって異なります。
妊娠週数は、最終月経開始日を0週0日としています。0週~3週目を妊娠1カ月、4週~7週を妊娠2カ月とカウントします。妊娠中の薬の服用に関して、1ヵ月目までは赤ちゃんにほとんど影響を与えないと言われています。逆に最も注意が必要な期間が2ヵ月目です。理由は、2ヵ月目に体の色々な器官(心臓や肺、手足など)が形成されるからです。また、2ヵ月目を過ぎても、薬の種類によっては赤ちゃんへの影響を及ぼすことがあるため、薬を使うときは必ずかかりつけの産婦人科医師に相談しましょう。
妊娠がわかったら、今飲んでいる薬をすぐに止めないとダメ?
妊娠中は、可能な限り薬剤の使用を避けたいですが、それまで飲んでいた薬を急に中断すると妊婦さんの元々の病気の症状が悪くなり、妊娠に悪影響を及ぼすことがあります。それを避けるために、妊婦さんの体調を見ながら使用している薬の変更や、同じ薬の継続をしていくことになります。
自分の判断で継続や中断をするのではなく、できるだけ早く産婦人科医師とかかりつけ医師に相談しましょう。
痛み止めのお薬、湿布薬なら妊娠中に使っても大丈夫?
妊娠中、お腹が大きくなることで腰や骨盤・足に負担がかかり、体のあちこちに痛みがでることがあります。そんな時、湿布薬や塗り薬を使いたくなる事もあるかもしれません。湿布薬や塗り薬は、体の一部にだけ効くイメージがありませんか?実は、皮膚から吸収された薬は、痛い部分だけでなく全身に巡ります。そのため、湿布薬や塗り薬の中にも妊娠中に使ってはいけない薬がありますので、購入する際や使用する際は薬剤師に確認しましょう。
ロキソニンテープ®(成分名:ロキソプロフェン)や、モーラステープ®(成分名:ケトプロフェン)などは「非ステロイド性抗炎症薬」と呼ばれる種類のお薬で、妊娠中(特に妊娠後期の28週以降)は使用を避けましょう。使用を続けていると胎児の心臓や血圧など悪影響がでる可能性があります。
なお、妊娠中でも使用できる消炎鎮痛薬は…
・アセトアミノフェン
・サリチル酸メチル
という成分のお薬です。医師や薬剤師に相談してから使用し、薬の説明書に書いてある用法・用量を必ず守りましょう。
妊娠中に腰回りに湿布を貼る事で赤ちゃんへの影響が強くなることはありません。
腰痛は流産の前兆である可能性もあります。いつもと違う痛みを感じた場合は、すぐに病院を受診しましょう。
例えば…鎮痛薬の湿布薬で、ドラッグストアで買うことが出来るのは、
ロキソプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、フェルビナク
オムニード®(ケトプロフェン)、モーラステープ®(ケトプロフェン)、ロキソニンテープ®(ロキソプロフェン)
最後に〜薬剤師からパパとママへ〜
妊娠中の薬やサプリメントは、自己判断で開始や中断をしたり、用法・用量と違う使い方は避け、産婦人科医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。また、全く薬を使用していなくても、生まれてきた赤ちゃんの5%程度に先天的な異常が見つかります。そのため、生まれてきた赤ちゃんに先天的な異常があった場合、必ずしも妊娠中に服用した薬が原因とは限らない事を知っておいてください。
パパとママの大切な赤ちゃんが健やかにすくすくと育つことを願っています。