こんにちは!産婦人科病棟担当の管理栄養士です。妊娠中の食事は、お母さんと赤ちゃんの発育にとても大切です。今回は、『妊娠中の食事のポイント』についてお話しいたします。
~バランスの良い食事ってどんな食事?~
バランスの良い食事とは、主食・主菜・副菜が適量に揃った食事のことです。

これらを毎食揃え、五大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを適量に摂ることが食生活の基本です。炭水化物の摂取量を減らす為に、主食を食べない人がいますが、炭水化物はエネルギーとなる大切な栄養素です。主食も毎食適量食べましょう。バランスの良い食事を考慮した上で、必要な栄養素を多く含む食品を食べることが大切です。
~妊娠期に積極的に食べていただきたい主な栄養素~
【鉄】妊娠中は貧血になりやすく、貧血になると赤ちゃんに十分な酸素や栄養が行き届かなくなります。鉄分は吸収しにくい栄養素の為、鉄分の吸収を助けるビタミンCも一緒に摂取するのがおすすめです。
【葉酸】赤ちゃんの脊髄形成・お母さんの貧血予防に重要なビタミンです。妊娠前・妊娠初期から十分に摂取することにより、神経管閉鎖障害(神経組織に障害が生じる先天異常のことです)の発症リスクが低減できます。
【カルシウム】お母さんの骨粗鬆症予防・赤ちゃんの発育の為に必要なミネラルです。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも一緒に摂取するのがおすすめです。

※レバーには鉄が多く含まれます。しかし、レバーに多く含まれるビタミンAを過剰摂取すると催奇形性(妊娠中の女性が薬物を服用したときに胎児に奇形が起こる危険性のことです) のリスクが高まる為、レバーの過剰摂取には注意が必要です。
*1日に必要なエネルギーと主な栄養量(参考資料)
エネルギー | たんぱく質 | 葉酸 | ビタミンC | カルシウム | 鉄 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
kcal | g | μg | mg | mg | mg | ||
非妊娠時 | 18〜29歳 | 1950 | 50 | 240 | 100 | 650 | 6 |
30〜49歳 | 2000 | 6.5 | |||||
妊娠期 | 初期 | +50 | 0 | +240 | +10 | 0 | +2.5 |
中期 | +250 | +10 | +15 | ||||
後期 | +450 | +25 | +15 |
引用:日本人の食事摂取基準(2015年版)
~体重管理は大丈夫ですか?~
自分の適正体重は知っていますか?適正体重と自分の体格(BMI)は以下の式で求められます。
☆適正体重(㎏)=身長(m)×身長(m)×22
☆BMI=体重(㎏)/ 身長(m)×身長(m)

太りすぎていると、妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群や巨大児、難産の原因にもなります。特に、つわりの後は食欲が増す方が多く、体重が増加しやすくなります。間食は200kcal以内に抑える・低カロリー食材(きのこ、海藻等)の利用をする・ゆっくりよくかんで食べる等の工夫をしましょう。
また、痩せすぎは、早産や低体重児出産のリスクの増加や、赤ちゃんの将来の生活習慣病リスクにつながります。欠食はせず3食しっかり食べる・間食を取り入れる等の工夫をしましょう。
簡単なレシピの1例を載せておきますので、興味のある方は作ってみてください。
*ヘルシー豆腐アイス*(1人分約90kcal)
材料(3人分):絹ごし豆腐 1/2丁、牛乳 1/2カップ、はちみつ 大さじ2
作り方:
①豆腐とはちみつと冷凍保存袋に入れて、滑らかになるまで揉む。
②牛乳を①に加えて揉む。
③冷凍庫で冷やし固める。
~塩分の取りすぎに注意!~
塩分の過剰摂取は、むくみや妊娠高血圧症候群の原因にもなります。塩分1日7g未満を目標にしましょう。
≪減塩のポイント≫
- 醤油や味噌の代わりに、レモンや酢等の酸味、こしょう等の香辛料で味付けをする。
- 汁物・漬物・麺類・肉加工品(ウィンナー・ハム等)・練り製品(ちくわ・かまぼこ等)の摂取量、摂取頻度を減らす。
- 調味料はかけるのではなく、つける。
- 食品の塩分表示の確認をし、塩分の少ないものを選ぶ。
妊娠中には身体にもいろいろな変化が起こるため、食事への影響も出てくると思います。少しずつでも良いので自分に出来ることをやっていきましょう。
また妊娠中の食事に関して困ったことや気になることがあればお近くの産婦人科医師あるいは助産師、管理栄養士などにご相談ください。私たち管理栄養士は栄養相談を通じて、妊婦さんと赤ちゃんの食事管理をサポートさせていただきます。