生理周期のある10-30代の女性で、生理痛に苦しんでいる女性は少なくないと思います。
生理痛のメカニズムとはどのようなものなのでしょうか?
出産時には子宮の筋肉が収縮し、赤ちゃんを子宮から外に出そうとします。
この子宮の筋肉が収縮することによる痛みが陣痛です。
実は生理のときも同じように、出血を子宮から外に出そうとする際に子宮の筋肉が収縮します。
そのときの痛みが生理痛なのです。

出産後に生理痛が軽くなる女性がいます。
これは、出産前は狭かった子宮の出口が出産後により広くなり、生理時の出血を外に出しやすくなるためです。
子宮の出口が狭いと子宮内の出血を外に出すのに強い子宮収縮が必要ですが、出口が広いと弱い収縮でも外に出すことができます。
この子宮の筋肉の収縮が強いか弱いかによって、生理痛が重いか軽いかが決まります
単純に子宮収縮が強いだけで、別の疾患などの原因がない生理痛を機能性月経困難症と呼びます。
一方、生理痛が重くなる原因として子宮内膜症という疾患が挙げられます。
子宮内膜症は女性の10人に1人の割合でみられる病気です。
子宮内膜症の女性は年齢とともに生理痛が悪化します。
生理痛だけでなく、排便時や性交時に痛みを感じたり、慢性的な骨盤痛(下腹部痛)を訴えるようになり、日常生活に支障を来します。

子宮内膜症の痛みの原因としては以下の3つが考えられます。
①子宮内膜から子宮を収縮させるホルモンであるプロスタグランディンが多く分泌される。
②子宮内膜症に伴う癒着による痛み
③子宮内膜症組織からの痛み
以上の理由により、子宮内膜症の女性では、正常な女性よりもかなり強い生理痛となります。
子宮内膜症は炎症疾患であり、慢性的な腹腔内での炎症に伴い、子宮や卵巣・卵管周囲の強い癒着を来します。
癒着は進行性であり、それにより卵巣や卵管の動きが悪くなり不妊症を引き起こします。

―生理痛と子宮内膜症の治療―
機能性月経困難症と子宮内膜症の治療薬としてLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン)というホルモン剤があります。
LEPには生理痛を改善し、子宮内膜症の進行を抑える働きがあります。
内服中の排卵が抑えられてしまうため、すぐに妊娠を望んでいる女性には向いていませんが、将来的な不妊症を予防できる可能性もあります。

LEPは経口避妊薬として昔から処方されていたものですが、副次的な効用として生理痛や子宮内膜症に対し効果があることが長期にわたる研究から明らかになってきました。
そのため、本邦でも月経困難症に対する治療薬として2008年に保険適用が認められ、子宮内膜症に対しても様々な効果が明らかになってきました。

現在、より副作用の少ないLEPとして超低用量のエストロゲン・プロゲスチン製剤も保険診療で使用できる薬として認められており、生理痛や子宮内膜症の治療薬の幅が広くなりつつあります。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 産婦人科

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