こんにちは。栄養室です。当院は病棟担当制で栄養管理を行っています。今回は、脳神経外科病棟における管理栄養士の病棟業務について紹介します。
脳卒中と食事
当院は急性期病院であり、脳出血やくも膜下出血、脳梗塞の患者さんが入院しています。これらの疾病では、手足の麻痺(動かせない、力が入らない)だけでなく、脳神経の傷害による様々な症状(頭痛、吐き気、喋りにくさ、むせやすさ、飲み込みにくさ)が生じる場合があります。
そのため、可能な限り元の生活のように過ごせることを目標に治療やリハビリを行います。リハビリには多くのエネルギーを使うため、必要な栄養を不足のないように摂ることが重要です。
症状に応じた食事調整
食事している様子をベッドサイドで確認し、患者さんと相談して食べやすくなるように食事調整をしています。嚥下調整食についてはこちらをご参照ください。

- 頭痛・創部痛 → 痛くて噛めない → 軟らかい食事へ変更
- 嘔気 → 気持ち悪くて少量しか食べられない → 少量で高栄養の栄養補助食品を提供
- 麻痺 → 手の麻痺で食器を持てない、食器を支えられない → 食具の調整
- 麻痺 → 顔面麻痺でうまく噛めない、口唇からこぼれ落ちてしまう → 食事の形態調整
- 嚥下障害 → むせやすく、誤嚥しやすい → 嚥下調整食へ変更
食事内容の調整以外にも必要な対応があります。例えば、前頭葉障害による意欲低下や右後頭葉障害における左半側空間無視です。意欲低下している場合には、声掛けや食事介助が必要です。左半側空間無視では左側の空間の認識が出来ないため、左側に注意を向けることが出来ません。食べ終えた後に左側の食事だけ残している場合には、半側空間無視の可能性があります。その際には、食器を見える位置へセッティングしてもらうように看護師と協力しています。

退院支援カンファレンスによる多職種連携
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、メディカルソーシャルワーカー、薬剤師と共に週1回、退院支援カンファレンスを行っています。
カンファレンスでは、患者さんの身体状況やリハビリ状況、食事摂取量など情報共有がされ、リハビリテーション病院へ転院が望ましいのか自宅に帰ることが出来るかを協議しています。喫食量が少ない人がいれば、食事調整の介入を行い、他職種からも食事中の患者さんへ声掛けを協力して頂くようにお願いしています。チームとして、退院後まで途切れのない支援を目指しています。
脳卒中予防のための栄養相談
脳卒中予防の食事で気を付けることは、塩分や飽和脂肪酸の過剰摂取を防ぐことです。また、血糖値が高めの人は高血糖予防が重要と言われています。病院食の味を薄く感じている場合は、普段の食生活で塩辛い食事を好んでいる可能性があります。
病気と食事の関係を理解してもらえるように患者さんへ説明をすることで、病院食への理解が深まり、喫食量が増える事にも繋がります。退院後にも継続して食事療法へ取り組めるように、栄養相談をして患者さんをサポートしています。美味しい減塩の話はこちらをご参照ください。
