モグモグ、ゴックン!安全な「口から食べる」をどう叶えるか?〜多職種一丸で咀嚼と嚥下をサポートします〜

※写真はご本人ご家族の許可を頂いた上で掲載させて頂いております。

こんにちは、栄養室です。
当センターの食事には約100種類の献立があり、患者さんの疾患や体格、年齢などを考慮し一人一人に適した食種を選択し提供しています。今回はその中から嚥下(えんげ)調整食について紹介させていただきます。
嚥下調整食とは何らかの原因によって咀嚼(そしゃく)・嚥下機能が低下した患者さんが安全に食べられるように形態を調整したり、食事や飲み物にとろみを付けて飲み込みやすくした食事です。

咀嚼(そしゃく)って…?嚥下(えんげ)って…?

咀嚼とは、口に取り込んだ食物を噛み砕くこと
嚥下とは、口の中の食物を飲み込み胃に送ること
をいいます。咀嚼はモグモグすること、嚥下はゴックンすること、と言えば簡単かもしれません。
咀嚼も嚥下も無意識に行っていますが、実は一連の動作によって成り立っています。

  1.  先行期:目や香りで食べ物を認識する
  2.  準備期:食べ物を口に入れ咀嚼する
  3.  口腔期:舌や頬を使い食べ物を口からのどへ送る
  4.  咽頭期:嚥下反射により食べ物を食道へ送る
  5.  食道期:食べ物を胃に送り込む

咀嚼・嚥下機能が低下するとどうなるの?

咀嚼・嚥下機能が低下すると2.準備期~5.食道期のどこかで障害が起き、窒息や誤嚥をしてしまいます。咀嚼・嚥下機能が低下する要因には、筋力の低下や歯の喪失、脳血管障害、神経・筋疾患などがあります。
最近、固いものを噛みきれなくなった、サラサラの水分でむせる、飲み込みづらさを感じるようになったなどがあれば、咀嚼・嚥下機能が低下しているかもしれません。

当センターでは、入院患者さんを対象に嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)を活用し、どの部位に障害が起きているのか客観的に評価しています。検査には医師だけでなく言語聴覚士も同席し、安全に食べられる食形態を選択しています。

当センターの嚥下調整食は、「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」に合わせて数種類の献立を作成しています。

引用・出展:HealthyFood 栄養指導Navi 食事の分類(学会分類)
https://healthy-food-navi.jp/?post_type=use&p=3592

≪当センターで提供している嚥下調整食(学会分類2-1)≫

モグモグ、ゴックンを支えるチーム医療〜多職種で咀嚼・嚥下機能を評価します〜

管理栄養士は、昼食時に患者訪問を行って食事の摂取状況を確認し、適切な食形態への調整を行なっております。また、摂取量が安定しないなど必要栄養量が不足する場合には咀嚼嚥下機能に合わせた栄養補助食品の提案をしています。
患者さんの「安全なモグモグ、ゴックン」を叶えるためには、管理栄養士だけでなく、多職種が一丸となって、摂食嚥下機能の客観的に評価し、それぞれの立場から適切な支援を行うことが重要です。
食事介助を行う看護師・看護助手、リハビリを行う言語聴覚士、食事の際の姿勢や動作を見る理学療法士・作業療法士、そして基礎疾患の病態を踏まえて治療計画全体をマネジメントする医師、それらの多くの専門家が力をあわせて、一人の患者さんの安全な「口から食べる」を支援しています。
いつまでも安全に「口から食べる」を維持するために、私たち東京ベイはこれからもスタッフ一丸で患者さん一人一人の「モグモグ、ゴックン(咀嚼・嚥下機能)」を正しく評価し、一人一人に適切なサポートを続けて参ります。

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