日々複雑化し進歩する医療の中において、私たち医療従事者は生涯学習が責務となっています。
看護師等の人材確保の促進に関する法律でも「(中略)~看護師等においては自ら進んでその能力の開発及び向上を図ること」と明記されています。
しかし一言で能力の開発と言われても日々進歩する医療機技術や理論について行くのは個人だけの努力では難しいところがあります。
私自身も看護師として働いていて感じるのですが、日々の多忙な業務と並行しての自宅学習がなかなか進まず自己嫌悪に陥ったりすることもあります。
育児中のお母さん看護師の方達など苦労している方も多いのではないでしょうか。
日々当センターで働いていて感じているのですが、医療機器や治療法はどんどん新しいものが出てきて、めまぐるしく変わっていきます。
当センターは総合病院でありながら基幹型研修病院でもあり全国から研修医の先生方を多数受け入れていますので、常に新しいものを取り入れる姿勢で日々の看護に取り組むようにしています。
私は外科病棟で勤務していますが創部の治癒を促進するために用いられるVAC療法や中心静脈カテーテルでCVと比べて感染のリスクが低いなどの利点があるPICCなど過去には無かった治療方法が次々に導入されています。
新しいことを取り入れているから良いということでは決してないのですが、患者さんが現在の医療で最良の治療方法を選べる環境を整えようという姿勢があること、またそれを私たちが学べるという意味では良いことなのではないかと思います。
これらのような新しい治療方法が次々と導入されたらついていけないと心配される方もいるかもしれません。
しかし大丈夫です。
新しいことを導入する際にその都度病院内のMEや薬剤師などの関連する部署の方、もしくは外部の業者の方に来ていただいて説明を行っていただけるので理解を深めてから関わることができます。
またもうひとつ疾患や治療について理解が進む理由として、医師が丁寧にカルテ記載をしていることがあげられると思います。
患者さんの状態や現在行っている治療の根拠を誰が見ても分かりやすいように細かく電子カルテに記載してくれています。
例えば自分がその日に担当となった患者さんの状態を理解する時に、数名の患者さんの病態や治療の根拠を、各担当医に毎回聞くわけにもいきません。
複雑な病態の患者さんを何人も同時に受け持っていると、完全に病態が理解ができる前にその日の勤務が終わってしまう可能性もあるくらいです。
しかし、カルテ記載がしっかりしていればそれを読むだけでも患者さんについての全体像が把握でき、疾患・治療について理解が深まります。
時間のロスが少なくすめば、ベッドサイドにいられる時間も長くなりますよね。
「現状維持では後退するばかりである」あのウォルト・ディズニーが残した言葉です。
このことはどの職種も共通だとは思いますが医療はまさにそうではないでしょうか。
現状の知識で満足してしまうと日々進歩する医療に取り残されてしまいます。
自分だけの努力でついていこうとしても、よほど向上心が強く外部研修にいくつも行くような人でないと難しいかもしれません。
もちろん各個人の努力は必須です。
職場に新しい治療などを働きながらでも知ることができる風土があれば、知識の蓄積の一助となります。
何を勉強していいかわからないという人も働いているうちに自然と学習のきっかけがうまれるでしょう。
そして、分からない時は自分だけで解決しようとしなくてもいいのです。
調べてわからなければ直接医師や病院内にいる各専門職に協力を依頼して教えていただくこともできます。
実際、私もそうやって理解を深めています。
自身の成長において環境は大きく影響すると思います。
自身を向上させたいという方には良い環境だと思います。