イメージと違う?脳神経外科病棟ってどんなところ?

皆さんこんにちは!
5階南病棟(脳神経外科)主任看護師の渡邊です。
今年度当病棟では、新人4名と既卒の看護師4名、新しい医師も1名迎えて忙しいながらも毎日楽しく頑張っています。
脳神経外科というと、なじみのない方も多いかと思います。
私も実際に脳神経外科に勤めている、と言うと、一般の方からは「どんな科なのか想像もつかない!」、医療関係の方からは「脳神経外科特有の手術やドレーン管理が難しそう」「病態が難しそう…」と言われることが多いです。
今回は、そんな方々のために、脳神経外科病棟がどんなところか、脳神経外科ナースはどんな人なのか、ちょっとご紹介したいと思います。

1.脳神経外科病棟ってどんなところ?

ひとことで言うと、「活気のある病棟」だと私は思っています。
当センターの脳神経外科は、脳卒中をはじめ脳腫瘍や頭部外傷、その他けいれんや三叉神経痛などの機能的疾患に対応し、手術前後、急性期~回復期まで、さまざまな患者さんが入院されています。
手術は2~3時間で終わるものから、手術自体に半日近くかかり、術後は必ず集中治療室へ行かなければならないものまでいろいろです。
麻痺や意識障害のある方、自分の意思を表すことが困難な方が多く、患者さんたちは少しでも自分の機能を回復させるために、手術の直後からどんどんリハビリを頑張ります。
点滴やドレーン(傷口に入れる管のことです)が入っている状態でも!

そんな患者さんの全身状態を整えるために、病棟には看護師や医師はもちろんリハビリスタッフ、栄養士や薬剤師、ソーシャルワーカーなどいろんな人が病棟に出入りして仕事をしています。
人(スタッフ)の出入りがとても多く、患者さんがリハビリを頑張っている、この二つを見ても脳神経外科病棟はとても活気のあるところだと言え、私はその雰囲気が大好きです。

2.脳神経外科ナースってどんな人?

一般的な外科ナースのイメージは「テキパキしていてはっきりと意見を言う人が多い」「バリバリ働いていそう」というような意見が多いと思います。
私は、「脳神経外科ナース」は一般的な外科ナースのイメージとは少し違うと思っています。

① 待つ能力
脳神経外科の患者さんは、食べること、寝ること、座ること、トイレに行くこと、文字を書くこと、洗面をすること、話すことなど日常生活のすべてがリハビリテーションです。
脳神経外科ナースは、急性期の不安定な全身状態を注視しながら、同時に患者さんが日常生活動作を再獲得するためにはどの程度の介入がふさわしいのかを常に考えています。
ナースがすべて手伝ってしまえば早いのですが、それでは患者さんのためにならないので、「待つ」能力が求められます。
そのため、急性期の治療の中でも比較的忍耐強く穏やかな心を持つことが求められるのが脳神経外科ナースです。
とはいえ、患者さんのペースに合わせる、というのは容易なことではありません。
私自身もまだまだ修行中です。

このように、介助量が多い患者さんが多く一つ一つの処置や動作に時間がかかるため、自然と効率よく働く力が身に付き、時間の配分が上手なナースが多いというのも脳神経外科ナースの特徴かもしれません。

② 察する力
脳神経外科の患者さんは、脳の実質に損傷を受けて意識障害がある方や、意識ははっきりとしていても自分の気持ちをうまく言葉にできないなど、思いを伝えることに障害を持った方がたくさん入院していらっしゃいます。
そこで脳神経外科ナースには、患者さんがうまく言葉にできないこと、態度に示すことができないことを予測したり、察したりする能力が求められます。
それは、「空気をよむ」という単純なことではなく、その患者さんの疾患や既往歴、脳のどの部位に損害を受けているのか、現在の身体全体の状態を総合的に考えて、医学的な判断のもとに「察する」という力が求められます。
これもとても難しいことで、特に新人の頃は患者さんの訴えを理解してあげることができずに落ち込むことが多くありました。(もちろん今でもありますが)
経験を積み、患者さんの訴えを理解するための「引き出し」が増えてくると、少しずつ察する力がついてきます。

どうでしたか?
イメージと違いましたか?
脳神経外科看護は、患者さんひとりひとりが、今後の人生をその人らしく生きていくための看護です。
病態は簡単では無いですし、体力的に大変なことももちろんありますが、喜びもたくさんあります。
脳神経外科ナースをすこしでも身近に思っていただければと思います。

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