新人看護師として3階南病棟に配属され、最初に先輩に教えていただいた言葉が「コードハート」でした。
3階南病棟は心臓血管外科・循環器内科病棟です。
冠動脈バイパス術や心臓弁置換・形成術。
また最近では経カテーテル大動脈弁置換術(通称TAVI)など様々な心臓の手術が行われています。
この患者さん達の術後の管理をしていく中で、この「コードハート」がとても重要になってきます。
術後の心停止は周術期特有の様々なリスクの中で一定の頻度で起こり得るものです。
通常の心停止の場合はすぐに胸骨圧迫を開始しBLSに沿って進めていきます。
しかし心臓外科術後患者の胸骨圧迫は、胸郭内構造物や縫合部の外傷リスクが高いため、必要最小限にする必要があります。
そのため情報共有の目的で当センターでは心臓血管手術後の患者さんという意味で「コードハート」という言葉を使用しています。
ベッドサイドに札を貼ったり、リハビリなどでベッドを離れる際には首にかけていただくなどし、担当スタッフ以外でもその患者さんが「コードハート適応患者」であることがわかるようにします。


「コードハート適応患者」の場合、心停止発見から1分以内に、除細動器で電気ショックや経皮ペーシングを施行する必要があり、発見者となる機会の多い看護師の早期対応が求められます。
そのため「コードハート」適応時に急変時対応の勉強をすることがとても重要なのですが、新人の頃は他の基礎的な心血管疾患や看護の勉強もありとても大変です。
また理解は出来ていても、実際にはなかなか動くことが出来ません。
そのため定期的に心電図波形や急変時対応などの勉強会を行っており、看護師だけではなく、医師にも参加して頂くことでより実践に近づけた内容になっています。
また、実際の症例の振り返りも行い、より精度の高い救命措置を目指しています。
看護師2年目の最後には勉強会の主催をします。
今度は学ぶ側から教える側になり、事例設定からシミュレーションまで披露します。
今回は夜勤中の急変という状況設定で、医療スタッフの人数の少ない中で何を優先的に行うべきか、先輩看護師や医師にも相談をしながら話し合い準備を進めていきました。
当日は参加者同士でディスカッションを行いながら事例に沿って学習を進めることができ、また毎年2年目が主体的に取り組む勉強会のため、終了時には大きな達成感を得ることが出来ました。
看護師3年目が始まり、新人看護師もたくさん入職してきました。
急変時は誰もが焦ってしまい臨機応変に動くことが出来ないことが多いですが、これからも質の高い救命措置を行うことが出来るよう、後輩に教えるだけではなく自分も一緒に学ぶという意識を持ち続けたいと思います。