「手洗い」から始まる冬の感染症予防対策〜東京ベイ認定看護師がお話します〜

皆さん、こんにちは。寒い日が続いていますね。すでに報道等で、今シーズンもインフルエンザが猛威をふるっているのは、ご存知のことと思います。今回のweb通信記事では、インフルエンザを予防するために重要な「手洗い」と「咳エチケット」についてお話をします。

インフルエンザの感染経路のひとつに「接触感染」があります。この接触感染の経路を遮断するには「手洗い」を効果的に行うことが大切なのですが、接触感染って何?と思われる方が多いのではないでしょうか。そこで当センターで手洗いの質を評価するために用いる蛍光塗料とブラックライトを使用して、イメージをつけて頂きたいと思います。暗い所で撮影したので、ホラー的要素を感じるかもしれませんが、ご了承ください。

①蛍光塗料を手指全体に塗って、ブラックライトを当てています。白く光っている部分にインフルエンザウイルスなどの病原微生物が付着している可能性があると想像してください。
②蛍光塗料を塗った手(ウイルスが付着した手)で、ドアノブを握ります。
③ドアノブに蛍光塗料(ウイルス)が付着したことがわかりますね。
④蛍光塗料を塗っていない手(ウイルスが付着していない手)で、ドアノブを握ります。
⑤握った部分が、白く光っているのがわかりますか?ドアノブを介して、蛍光塗料(ウイルス)が間接的に付着しています。
⑥この汚染した手を洗わずに、鼻や口に触れたりすれば、ウイルスが体内に侵入し、感染が成立してしまいます。

上記の写真のような間接的な接触だけでなく感染者の咳やくしゃみなどの分泌物に直接触れることでも、鼻や口などの粘膜を通して、感染してしまいます。なんとなくイメージがつきましたでしょうか?

そこで感染経路を遮断するための「手洗い」について、正しい手順とタイミングについてお伝えします。

【手順】
1. 手洗いの前に、袖をまくりましょう。帰宅後の場合は腕時計を外しましょう。
2. 手指を流水で濡らし、手指洗浄剤(液体せっけんなど)を適量取り、泡立てます。
3. 手のひらをすり合わせます。
4. 手の甲をもう片方の手のひらでこすります。
(両方)
5. 両手の指の間をこすり合わせます。
6. 指先を反対側の手のひらに立てるようにすり合わせて、指先の周囲を洗います。
7.親指は片方の手で包み込むようにして洗います。
8. 両手首まで丁寧にこすります。
9. 流水で十分に泡を洗い流します。
10. 清潔なタオルで押さえるように、よく水気をふき取ります。ご家庭に感染者がいる場合には、タオルを使い分けましょう。
【タイミング】

せっかく正しい方法で、手を洗っても、タイミングを外してしまっては意味がありません。手洗いを効果的に行うタイミングについて、大事なポイントは以下のようになります。

1.外出から帰った後(帰宅後だけでなく、学校や職場に着いた時も、真っ先に行います)
2.咳やくしゃみで、手で口を覆った後、鼻をかんだ後(どちらかといえば、周囲の方々へのエチケットとなります)
3.調理する前、食事の前 (外食の時も忘れずに)
4.トイレの後
5.感染した家族・同居者の介護をした後

ぜひ、手洗いを習慣づけていきましょう。実践している私たちは、看護師になってからインフルエンザに罹ったことはありません。

次に「咳エチケット」についてお話をします。

インフルエンザのもうひとつの感染経路である「飛沫感染」は、インフルエンザに感染している人の咳やくしゃみ、会話の時に空中に拡散されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸い込むことで感染が成立します。感染拡大を抑えるために、お互いが咳エチケットを守ることが重要となります。

咳・くしゃみの際には・・・3つの方法から選択します。
・ティッシュなどで口や鼻を覆いましょう。
・周りの人から顔をそむけましょう。
・上着の内側や袖で口や鼻をおさえます。(肘ブロック)
そして、
・口や鼻をおさえたティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手を洗いましょう。
・咳やくしゃみの症状があればマスクを着けましょう。また咳をしている人に着用をすすめましょう。マスクの正しい着け方はイラストをご参照ください。
鼻の形にワイヤーを合わせます
鼻からあごまできちんと包みます

「保健室のパソコン活用」より 2009.9

感染経路を理解し、行動に移すことができれば、自分と周囲の人たちを感染症から守ることにつながります。毎年おとずれるこの季節、皆さんで協力して乗り切りましょう!このページに目を通していただき、ありがとうございました。

感染管理認定看護師 根本恵子
感染制御実践看護師 宇田川慶子

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部

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