みなさん、こんにちは。
今日は私たち診療看護師が、日頃の診療で使う『エコー』についてご紹介します。
『エコー』とは、超音波を使って体の中を観察する検査方法の1つです。
ベッドサイドで簡便に行うことができ、針を刺したり薬を使うこともないため、患者さんに対する侵襲がないことが利点です。
比較的身近な検査の1つではありますが、皆さんにとっては医師や検査技師さんだけが使っているイメージではないでしょうか?
しかしこの『エコー』、私たち診療看護師にとっては必須アイテムの1つなのです。
なぜなら、患者さんの状態を正確に把握し、さらに迅速に医師の診断につなげることが役目の私たちにとって、多くの重要な情報が得られるツールだからです。
こんな時・・・
心臓手術後の患者さん。血圧が少々不安定で食欲もありません。
心配した看護師さんから診察依頼がありました。
病室に伺うとやはりどこか元気がありません。
聴診器で胸の音を確認したり、手足を触れてみたり・・・。
ん?これはもしや?
そこで登場するのが『エコー』です。
エコーを胸に当ててみるとやっぱり!
心臓の周りに水が貯まっていました。
心臓手術後の患者さんに希に見られる合併症の1つです。
心臓周囲に心嚢液という水がたまることで、心臓が正常に動かなくなる現象です。
患者さんの元気がないのはこれが原因でしょう。
すぐに医師に報告するとともに、適切な処置を行うことで元気に回復しました。
このようにエコーは、私たちが感じる「何かおかしい」を、客観的なデータとして提示するのにとても有用です。
またある時は・・・
感染症のために長期に抗菌薬投与が必要な患者さん。
血管が細く何度も点滴を刺され痛々しい様子です。
そんなとき私たち診療看護師はPICCカテーテル(ピックカテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル)という長期留置できるタイプの点滴を挿入することがありますが、そのときも『エコー』が登場します。
エコーで血管の走行や深さを直接確認しながら針を挿入します。
手の感覚や皮膚の視診を頼りに挿入するよりも確実に血管をとらえられることから、短時間で安全です。
そして何よりも、何度も針を刺されるといった患者さんの苦痛を減らせることができるのです。
いかがでしたか?
エコー片手に働く看護師も素敵ではありませんか?
私たちの診療スタイルは常に「右手に聴診器、左手にエコー、そして心に愛を!!」なのです。
<今回の記事担当>
重冨 杏子/Kyoko Shigetomi
診療看護師 6年目 所属 心臓血管外科