清潔も安心も叶える魔法の布「ドレープ」〜局所麻酔で手術を受けられる患者さんへ〜

※当記事の写真はイメージです。実際の患者さんではなく当院職員が患者役をしております。

いきなりですが、皆さん【魔法の布】をご存じですか。
布といっても使われている場所は様々であり、普段身に着けている洋服、タオル、カーテン、布団、ベッドシーツ、枕カバー、風呂敷など家の中を見渡すだけでも、かなりの数が目に入ると思います。
意外なところだと学校で使われている黒板消しも布が使われています。

今回紹介する、【魔法の布】かなりすごいです。
手術室の看護師が紹介するので、もちろん手術室で使われているものです。
何がすごいって、手術に関係のない部位を汚染から守り、手術時の清潔、不潔を区別することができます。

不潔といっても埃、泥、血などで汚れているわけではなく、ざっくり説明すると手術する部位、執刀する医師、手術介助につく看護師の手、胸の部分、手術に使用する機械は清潔、それ以外は不潔という判断になります。厳密には、もっと細かく清潔、不潔を区別しており、清潔の中でもランク(順位)があったりします。

清潔、不潔を理解するのは手術室看護師になって、初期にぶつかる壁でもあり、話すと長くなるので今回は詳しく説明しませんが、手術中にしっかり清潔が保てないと、手術後の感染症の原因になったりします。
僕も手術室看護師3年目ですが、いまだに迷うことがあります。
ようやくですが【魔法の布】とは手術用のドレープのことです。

【魔法の布】ですが手術では必ず使用します。
この【魔法の布】、手術に関係のない部位を汚染から守り、手術時の清潔、不潔を区別できるのはいいのですが、この布が掛かることで手術部位しか見えなくなります。

手術部位しか見えなくなるということは、患者さんの顔にも【魔法の布】が掛かり、患者さんは基本的に何も見えなくなります。目が覚めた状態で手術部位にだけ痛み止めを使用しておこなう、局所麻酔の手術では何も見えない状態で手術が進んでいきます。何も見えない状態で何かをされるのは手術でなくても不安に感じると思います。ましてやそれが手術であり、皮膚を切られたりするわけですから患者さんが感じる不安な気持ちはとても強いものです。

手術室で患者さんが不安になる原因は【魔法の布】だけではないですが、【魔法の布】が患者さんを不安にさせる原因の1つになっています。
患者さんが不安になると血圧が上がったり、脈が速くなったりして患者さんに負担がかかります。

そのため、手術中何も見えない患者さんのために、僕等看護師が患者さんの近くにいます!
ただ患者さんの近くにいるのではなく、痛みが強くないか、室温は適切か、執刀医に伝えたいことはないかなど、患者さんとコミュニケーションをとり、なるべく患者さんが不安な思いをしないように声掛けを行っていきます。
また、必要と感じれば【魔法の布】の下に潜り込み患者さんの表情を見て、声掛けを行ったりします。
ドレープ、看護師、医師の力が一つに合わさり、ドレープの力が発揮でき【魔法の布】になることができます。

以上、【魔法の布】の話でした。
ではまた!

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