皆さんは、なんとなく過ごしている日々、または忙しい日々を送っていても、季節を五感で感じることはありませんか。
子どもたちは日常生活で保護者の方々や、幼稚園や保育園などの場で保育者や友だちといったいろいろな世代の人たちと関わり、あそびを通して、日々のちょっとした変化、動植物の成長や季節の移り変わりなどたくさんのことに気づき、考え、学んで成長しています。
様々な事象に自ら目を向け気づいていけることが大切ですが、それができない年齢の子どもやそのような環境に置かれていない子どもたちには大人が意図的に声をかけるなど、環境を作っていく必要があります。
ここで、入院生活を余儀なくされた子どもたちに目を向けてみます。入院生活を閉ざされた環境であり、気づきという点で不足する環境であるとすると、病棟・病室の雰囲気や環境づくりには意味があり、重要な役割を担っています。環境づくりの一つである壁面装飾では特に、タイムリーなものを表していくことで、今病院の外ではどんなことが起きているのか、今の季節は…といったようなことを伝えていくことができます。
例えば秋の季節の装飾では、ただ葉っぱの色を変えて、どんぐりやキノコをずっと飾っておくというのではなく、実際に子どもたちと窓の外の木々を見て、葉っぱが色づいているのを見つけます。又実際に見ることができないものは、絵本を使いながら話したり、図鑑を見たりと、子どもたちの気づきや学びを促した後、作り進め、飾っていくなど過程を大切にすることを常に意識し工夫をしています。
このように、私たち東京ベイ・浦安市川医療センター小児科病棟では、季節ごとに病棟の壁を彩る風景(壁面装飾)を替えて、四季を感じてもらいます。入院中の子どもたちが、日々の体験を通じて気づきや学びを促す場を設けるようにしています。
病棟においても、こどもの日、七夕、節分、ひなまつりなどの季節の行事を開催し、由来をシアター、絵本や紙芝居などを使ってわかりやすく、しっかり伝えるということを大切にしています。
季節の行事は日本古来のものから、近年定着してきたものまで様々ですが、各行事ともなぜそのような日があり、どういう話があり受け継がれてきたのかという由来があります。

もちろん行事を開催するにあたり、「治療に偏りがちな入院生活に潤いをもたらす」「患児や家族にとって入院中の良き思い出を作る」「医療スタッフと患児のコミュニケーションを図る」などといったことも目的として行っています。その他に、行事当日を楽しみに過ごすことができるように、普段から遊んでいて親しみのあるプレイルームに、行事に関連したあそびのコーナーを作り、楽しめるようにしています。

(例えば、夏の季節や夏祭り前は魚つりや金魚すくいで遊べるように準備しておくなど)
以上のように保育行事や日々の保育の中で、身体的・精神的負担の多い入院生活において、少しでも病気の苦痛や緊張を忘れ、子どもらしい心からの笑顔を取り戻せるように取り組んでいます。
【関連記事】東京ベイの小児科で一緒に働きませんか?