外来でがん化学療法を受ける患者さんをサポートします ~QOL維持のために、見逃すな!副作用~

日本人の死亡原因の第1位は?

看護学生のみなさん、看護師のみなさん、はじめまして。東京ベイ・浦安市川医療センターの化学療法室看護師です。1980年代から40年近くにわたって、日本人の死亡原因第1位は、がん(悪性新生物)であることをご存じですか?がんは高齢者が罹りやすい病気なので、「長寿大国」「高齢化」の日本では、2人に1人がガンにかかり、3人に1人がガンで亡くなるといわれています。さて、がんの治療は「手術療法」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤を使った治療)」が三大療法とされていますが、なかでも最近、めまぐるしい進歩をしているのが化学療法です。がんの種類によっては、化学療法を受けることで長期間の生存も可能となったので、がんは今や慢性疾患ととらえられつつあります。

当センターの化学療法室をご紹介します。

副作用のより少ない新しい抗がん剤や、吐き気止めなどの副作用対策のお薬の登場によって、以前は入院して行っていた化学療法が、外来通院で可能となりました。外来通院の良い点は、なんといっても住み慣れた自宅で、家族とともに生活できることです。精神的にリラックスして過ごすことができますし、会社に勤めながら治療できるので、経済的にも安心です。入院すると、他人との生活でストレスを感じることも少なくありません。一方で、もちろん外来通院には問題点もあります。化学療法による副作用(しびれ、吐き気、便秘、だるさ、脱毛など)の多くは自宅で起こるので、患者さんが自分自身で対処しなければなりません。副作用の予防方法や対処方法について、患者さんが実践できるようにしっかり指導します。これは、化学療法室看護師の重要な役割です。

化学療法室では2017年度、「副作用対策についての患者さん指導用パンフレット」の作成に取り組みました。副作用の中には、セルフケアによって予防・軽減ができるものもあるので、患者さんが理解しやすいように、イラストを多く取り入れて工夫しました。

化学療法の治療日には、副作用をセルフマネジメントできているか確認します。副作用の観察方法や評価方法を、患者さんと看護師が一緒に振り返ります。また、患者さんの症状の変化を、看護師が確認します。症状が悪化している場合は、がんの悪化からきているのか、副作用からきているのかアセスメントします。たとえ、化学療法でがんが小さくなっても、副作用が原因で、患者さんが今までの生活を維持できなければQOL(quality of life=生活の質)の低下、化学療法の延期や中止も視野に入れなければなりません。

化学療法室で行っている治療
ここでは胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、胆道がん、膵臓がん、食道がん、脳腫瘍などの化学療法を行っています。また、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎などの患者さんを対象とした、生物学的製剤の点滴治療も開始しました。件数は全体でひと月100件前後です。

スタッフ紹介
担当医師、化学療法看護師、がん薬物療法認定薬剤師、栄養士といった、専門性を持つスタッフが協力して、患者さんが安全に治療を受けられるようにチーム医療でサポートしています。

設備
ベッド2床、電動リクライニングチェア8床の計10床を設置しています。室内には音楽が流れ、患者さんがリラックスして治療を受けられるように配慮しています。

いかがでしたか?今回は化学療法の副作用についてお話しました。がん化学療法において、化学療法室看護師は、副作用をいち早くとらえる立場にあり、その役割はとても重要です。どんなに小さな症状であっても見逃さず、患者さんが治療を継続しながら、今までどおりの日常生活を維持できるようにサポートするのは、とてもやりがいのある仕事です。興味のある方、または今まで化学療法に関わった事のある方は、ぜひ一緒に化学療法室で働いてみませんか?

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部

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