産婦人科病棟では、定期的に産婦人科病棟スタッフと産婦人科医師、麻酔科医師、救急医師、手術室スタッフを巻き込んでのグレードA帝王切開シミュレーションを行っています。
※当センターでの2017年度分娩件数323件(帝王切開80件 内、緊急帝王切開14件)
グレードA帝王切開とは母体もしくは胎児、もしくはその両方が非常に危険な状態にあるため、医師の宣言から20分以内で迅速な児の娩出を目指す帝王切開のことです。産婦人科というと笑顔で元気な赤ちゃんを迎えて…といった明るい健やかなイメージがありますが、実際の周産期ではいつ何時、お母さんや赤ちゃんの状態が急変するかわかりません。そのため、私たちは日頃よりグレードA帝王切開シミュレーションを行い、分娩時における急変に備えています。
以下、先日産婦人科病棟で行ったシミュレーションの様子を紹介します。
シミュレーション設定は夜勤帯で、スタッフの少ないことを想定して行っています。夜勤は産婦人科当直医師1名、病棟助産師(看護師)3名が基本の人員配置であるため、緊急で手術が必要になった場合は外科医、救急医、麻酔科医、ICU医師の助けも必要となってきます。看護師側も、管理夜勤師長、手術室看護師、他病棟からの応援が必要です。全員が真剣に取り組み緊張感に包まれたシミュレーションです。分娩担当助産師、夜勤看護師リーダー、夜勤病棟担当助産師もしくは看護師、当直医師と役割を決め、それぞれが対応マニュアルを軸に迅速かつ臨機応変に動きます。
ストレッチャーで手術室へ産婦さんを搬送します。急ぐあまり、つい妊婦さん・家族の方への声かけが少なくなってしまうことのないように注意します。
グレードA帝王切開の場合、妊婦さんの術衣への更衣は不要であり、手術の同意書も妊娠中にあらかじめ署名を頂いておいたものを使います。必要な物品を持って1秒でも早く妊婦さんを手術室へ搬送します。
手術室にて、病棟助産師も可能な限り早く手術が始められるよう、産婦さんの手術準備を手伝います。
後日、病棟スタッフで集まってシミュレーションの振り返りを行い、よりスムーズに動けるように意見を出し合います。マニュアルには載っているが実際に動いてみて不要な動き、逆に載っていなかったが必要な動きについて活発に意見を出して、より素早く安全な対応に改善していきます。
このような活動を繰り返しながら、緊急の事態に少しでもスムーズな動きが出来るよう、日々のトレーニングに取り組んでいます。スタッフ全員、お母さんと赤ちゃん両方の命を助けたい!という思いを胸に、これからも産婦人科病棟のグレードA帝王切開シミュレーションを続けていきます。
※本記事掲載画像は過去に撮影された写真です。