こんにちは。みなさんは、患者さんの身体が手術中どのような状態になっているか知っていますか?手術の術式によって患者さんの体の向きは違います。それを一般的に「手術体位」と呼んでいます。仰向けや横向きに寝ているような姿勢、うつ伏せや足を開いたような姿勢など様々な体位があり、それぞれ専門的に仰臥位(ぎょうがい)、側臥位(そくがい)、砕石位(さいせきい)、腹臥位(ふくがい)、ジャックナイフ位、パークベンチ位などと呼びます。
手術体位は医師が術式によって最終決定するのですが、手術中の患者さんは全身麻酔で眠っていることが多く、自ら身体を動かすことができません。痛い場所があったり、無理な姿勢をとったりしていても伝えることができません。そのため手術室看護師は、患者さんが全身麻酔で眠っている間の代弁者となり、一人一人の身体に合わせた苦痛がないような安楽な姿勢を考え、正しい手術体位を提供する必要があるのです。これを「体位固定」といいます。
もし、体位固定が正しくできていなかったらどのようなことが起こるのでしょうか?無理な体位固定や、使う物品が適していない場合、一定部位に長時間圧迫が加わることで、発赤(ほっせき)や褥瘡(床ずれ)につながりかねません。また不適切に腕や足を曲げたり捻ったりしてしまった場合、術後に痺れなどの神経障害が起こってしまう可能性があります。これらを防ぐために、私たちは体位固定に関しては手術にかかわる医療チーム単位で特に注意を払って行います。
今回は、手術室内で体位固定の勉強会を開催し、改めて、体位固定の定義や重要性、それぞれの体位において必要な観察点を全員で学び、重要なポイントを確認し合い、手術看護の質を向上させるため勉強会を行いました。
第一弾として、まずは基本的な仰臥位と、症例の多い側臥位について学びました。パワーポイント資料でポイントを学んだあと、実際に、患者役と看護師役で分かれて体位固定を行いました。患者役を体験することで、普段何気なく行っていた体位固定の細かい改善点に気づくことが出来、見ていたスタッフからも「ここはこういう方法がいいのでは?」「私はこうしているけどどうなの?」と活発な意見が飛び交い、患者さんにとっての最善な体位を全員で検討して学ぶことができました。また、学会やセミナーで入手した新しい体位固定を行う物品や皮膚を保護する製品などの情報伝達にもなり、術式や患者さんに合わせて物品や製材の選択をすることの大切さを改めて学ぶ機会にもなりました。
同じ術式や手術体位であっても、患者さん一人一人が違うように、同じ体位固定方法は1つもありません。私たちはこうやって日々学び、患者さん一人一人の個別性に合わせた体位固定を行い、質の高い手術看護を提供していきます。
東京ベイ手術室看護師より