認知症ケアチームの活動 ~患者さんに寄り添う気持ちが大切~

2025年、団塊の世代が一斉に後期高齢者(75歳以上)となります。特に千葉県は地方の緩やかな高齢者増加に比べ急激な高齢者の増加が予測されています。どこの病院も年々高齢者の入院患者の割合が高くなっています。長寿の時代と医療技術の発達が治療を受ける年齢を高めているのは言うまでもありません。このような社会背景の中で看護をしていると、いつも思うことがあります。

自分達が子供の頃はおじいさん、おばあさんと3世代で生活していました。今は核家族が多く病院で迎える新人看護師も現場に出るまでは高齢者との密な時間を持っていた人はあまりいません。そんな状況でも現場では資格のある看護師として患者さんに関わらなくてはいけません。人生の中で接したことのない年齢層、認知機能の低下をきたした患者さんを安全に看護していくためにはどうすべきか、身体拘束(しんたいこうそく)をいかに減らし患者さんに安全で安楽な時間を提供できるのか、毎日が葛藤の連続です。

患者さんにとって、入院するということは身体的な変化に環境の変化が加わることで精神的なストレスが増加します。通常の認知機能が保てなくなることは仕方のないことではないでしょうか。そのような患者さんを前にできるだけ身体拘束をせずに治療ができるよう心掛けています。「早く回復し退院できるように」「経口での食事ができるように」「トイレで排泄できるように」など患者さんに寄り添う気持ちを持ちながらケアを積み重ねています。

この積み重ねが笑顔で退院できることにつながっているように感じます。帰るときは、患者さんも看護師も少し寂しくなるような時があり、心が通った看護が実践できたのだと感じます。反対に後悔の気持ちでいっぱいになり、患者さんとご家族の両者を思いながらケアができたのだろうかと自問自答することもあります。

世間のニュースでは「在宅で家族が介護に疲弊している」と報じられますが、病院でも同様に医師や看護師が認知症を持つ患者さんの対応に困難さを感じることがたくさんあります。そのような大変さを皆で共有し解決の糸口を見つけていくことができれば、安心して医療や看護が提供できるのではないでしょうか。

今年度、当センターでは認知症ケアチームを立ち上げました。医師、認知症ケア認定看護師を中心に、病棟看護師、理学療法士が活動しています。現場で高齢患者さんに関わる医師や看護師が自分たちの力を最大限に発揮できるよう認知症ケアチームがサポートしていけるような体制作りを目指していきたいです。

そのために学習会の開催や、認知症ケアマニュアルの作成、せん妄予防のための療養環境整備についてのアドバイス、病棟ラウンドによる低活動型のせん妄患者さん把握を開始しています。

まだまだチームの活動は始まったばかりですが、高齢者や認知症患者さんのケアについてまずは医師と看護師間で積極的に意見交換ができるようにしていきたいです。そして自分たちのケアに少しでも自信が持てるような日が来ることを願いながら活動していきたいです。

◆ 東京ベイ・浦安市川医療センター 看護部

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