皆さんこんにちは!突然ですが皆さんは、「看護師長」がどんな仕事をしているかご存じでしょうか?一般に患者さんを受け持っている看護師はプレイヤー、主任になると患者を受け持ちながらマネジメントも行うプレイングマネージャー(「看護部の中間管理職!?主任看護師とは?」参照)、そして看護師長はマネージャーと表現できると思います。
師長のおもな仕事はマネジメントですが、私も師長になるまで患者さんを受け持たない看護師「看護師長」がどんな一日を過ごしているのか想像がつきませんでした。今日は特に「病棟師長」の一日に密着して仕事を見てみたいと思います。
8:30 業務スタート 朝礼 申し送りに参加
申し送りは日勤看護師全員が集まる数少ない機会なので、「病棟全体に周知したいこと、連絡事項」を伝えます。書面やオンラインでも伝えるツールがあるのですが、細かいニュアンスが伝わりにくいことが多いので、重要な事項は書面やオンラインツールへの書き込みに加えて口頭で伝えています。
8:45 当日の入退院、ベッドコントロール確認
病棟師長の重要な仕事のうちの一つとして、当該病棟のベッドコントロールがあります。入院には、「予約入院」と「緊急入院」の2種類がありますが、東京ベイは一般外来から入院してくる予約入院患者さんに加え、24時間365日救急患者さんを受け入れており、入院患者数の状況は日ごと、時間ごとに変わってきます。昨日までの状況と大きく変化があることもあり、必ず朝再確認が必要です。
今日は空床がどれくらい出るのか、今後一週間くらいの予約入院をなんとなく頭に入れつつ計算します。地域に密着した急性期病院として、この地域の「入院・治療を必要とした方」が、スムーズに治療を受けられるよう病床をコントロールしています。
9:15 ベッドコントロール師長と打ち合わせ、当日のベッドコントロールの確認
病棟に所属しない、ベッドコントロール専門の看護師長が各病棟にラウンドに来ます。病院全体のベッドを把握しているベッドコントロール師長と病棟師長で打ち合わせをし、ICUやHCU、またその他の病棟との転入・転出を決定します。
ベッドコントロール師長からの情報に加え、患者さんの治療がどんな状況なのか、デバイス類が入っているのか、今後の展望など、先方(転出先、転入元)の病棟師長や担当医師と情報交換をして入院や転棟のベッドを決めています。その患者さんを受け入れるにあたり病棟内のベッド移動が必要な場合は調整したりします。
9:30 病棟のチームリーダーと打ち合わせ
当日のベッドコントロールを自病棟のチームリーダーに伝え、さらに調整が必要な場合はリーダーの意見を聞きつつ調整します。ベッドコントロール以外にもリーダーからの懸念事項やその他の報告があれば耳を傾けて対応を考えます。
9:45 管理ミーティング(オンライン)
当日の各部署(病棟や外来、手術室など)の看護管理責任者(師長や主任看護師など)とミーティングをします。連絡事項や検討事項などの共有と確認を、約10分オンラインで行っています。
10:00~ 患者さんラウンド、事務仕事あれこれ
スタッフからの報告や朝の申し送り、カルテラウンドで気になる患者さんがいれば様子を見たり、お話を聞きに行ったりします。以前は全患者さんをラウンドしていたのですが、接触に関していろいろと難しい時期がありましたので、それを経て現在は気になる患者さんとお話しするようにしています。午前中は患者さんも検査や手術などの予定があり忙しいので、調整しながら訪問します。
午後からは会議があることが多いので、勤務表を作成したり、スタッフの提出物をチェックしたり、看護必要度をチェックしたり、空いた時間を使って次々と回ってくる事務仕事をなるべく効率的に処理しています。
12:00~14:00(内1時間休憩)
師長は昼休憩の時間が決まっていないので空いた時間にランチです。私は密を避けるため、スタッフの休憩と時間をずらして14時ごろをランチタイムとしていることが多いです。師長はデスクワークが多く、スタッフとして働いていたころと比べると体力を使うことが少ないので食べ過ぎないように注意しています(笑)。
13:30~会議、カンファレンスなど
どの職種も同じだと思いますが、管理職になると会議が増えます。主任のころに比べて他の部門の方と会議をすることが増え、時には院外の方と会議をすることもあるので、会議の準備や会議中の振る舞いにはいっそう気を付けるようになりました。医療職はひとまとめに思われがちですが、実は職種が違えば文化が違い、違う職種が集まって有意義な会議を行うためには準備やテクニックが必要です。管理職になってみてそれを実感しました。
16:00 管理薬の定数チェック、翌日の請求など
院内には、必ず鍵のかかるキャビネットに保管する必要のある薬剤があります。基本的には薬剤部で管理されていますが、少量ですが病棟にもストックしています。この管理薬が正しく管理されているか、定数は間違っていないかなどを毎日チェックしています。病棟担当薬剤師さんがいるので、薬剤師さんは薬剤師さんの目で、師長も自分自身の目で毎日必ずチェックします。
17:00 終礼 仕事終了!
17:00に日勤の病棟スタッフ全員で終礼を行い、連絡事項を伝えたり、日中に振り返るべき事項がある場合は全員で振り返りを行っています。朝礼の時間、病棟ナース達の頭の中は今日の予定やToDoなどでいっぱいです。朝と比べて夕方の方がスタッフへ伝わりやすいことが多いので、大事な連絡事項や検討事項は終礼で話すのも師長としてのコツの一つです。自分が看護師長になってみて、「どうすれば相手に伝わるか、理解してもらえるか」ということをとてもよく考えるようになりました。今も、毎日試行錯誤しながら「伝え方」を模索しています。
いかがでしたか?管理職になると、1看護師として患者さんに直接ケアをする機会が減り、ケアが大好きな私としては少々物足りなさを感じた時もありました。しかし、目の前の患者さんに、今日「最善のケア」をすることを心がけていたスタッフ時代とは違い、今はその「最善のケア」を、どうすれば継続して組織的に提供し続けることができるかということを考えています。
毎日病棟内外を巻き込んで起こるさまざまな出来事に対処しつつ、病院全体で患者さんに「いかに良い医療、看護を提供するか?」という長期的な目線で病棟全体とスタッフを管理していくことは裏方でハードな仕事ですが、良い医療良い看護のためには欠かせない大切な仕事です。
しかし、そのハードな毎日は、日々の小さな喜びに支えられて成り立っているように感じます。師長にとっては、患者さんやその家族が満足してケアを受けられることと、スタッフが成長していくことが何よりの喜びです。管理職はハードな割に地味な仕事ではありますが、スタッフ時代とは一味違う喜びを感じることができて、とても面白いと感じています。
皆さんもぜひ、自分のキャリアデザインの一つに、師長という選択肢も考えて、日々を頑張ってください。
