東京ベイには透析室があります。でも、どこにあるかわからない。どんなお仕事をしているところ?とよく聞かれます。看護学生の方をはじめ、病棟勤務の看護師さんも普段あまり関わる機会が少なく、知る機会も限られると思いますので、今回少しでも透析室に興味を持ってもらえたらと思い、紹介させていただきます。
《場所の説明》
透析室の場所は、2階のエレベーターホールから道なりに、Dブロック受付から右に曲がった奥まったところにあります。
ここでは何をしているのか、透析室日勤の流れをお話ししていきたいと思います。

【8:30 出勤、朝の準備、当日透析予定患者さんの情報収集】
【8:45 ミーティング】
- 臨床工学技士は医師から申し送りを受けて、看護師と情報共有する。
透析室では看護師だけでなく、医師、臨床工学技士とも連携し、透析チームとして患者さんと関わっています。
【8:50頃~ 外来患者さん、9:00頃~ 入院患者さん 入室】
○除水量が決まったら
- 部門システムである「Future Net Web」より、2人1組で透析条件の読み合わせ行うことで透析開始準備が整います。
- バスキュラーアクセスの穿刺
- 長期留置カテーテルなどカテーテル挿入中の患者さんは、脱血・注入、コアグラの確認をした後に透析回路をつなぎ、血液透析開始となります。

【透析開始~終了まで】

透析が始まったからといって、安心をしてよいわけではありません。
血液透析という体外循環を回しています。
- 急に状態が悪くなり、12誘導心電図など緊急の検査や透析後に追加採血。
- 採血データで、補正や輸血、追加の採血が必要になる場合もあります。
- また、同じく採血データによっては、透析後に入れる薬剤の変更や中止になる場合もあります。
その都度準備して、看護師2名でダブルチェックを施行。
間違いがないように、しっかり確認を行っています。
- 輸血が必要な場合には、病棟より血液製剤使用同意書を持参してもらい、輸血の準備、施行。
- 30分ごと血圧測定、透析機械(コンソールと言います)を確認。
血圧の変動や、自覚症状により除水速度を変えたり、状況によっては医師に報告し、除水の再検討や透析終了となる場合もあります。 - カテーテル挿入中の患者さんでは、固定のテープを確認し、必要時、テープの交換を施行。
- 透析後退院が決まっている患者さんの場合には、サマリーを準備。
- 患者さんの指導(透析導入時、止血練習、フットケアや日常生活での指導など)。

- 次回透析時に使用する、穿刺針など物品の準備。

- 医師、臨床工学技士、リーダー看護師で透析回診を施行。
- 翌日以降の新規透析患者さんの準備
(臨床工学技士に透析の条件を部門システムに入力してもらったり、医師に透析中に使用する薬剤を入力してもらったり、ファイルを作ったり、物品を作ったり…)
【決められた透析時間が終了、状態の変化で医師指示にて透析が終了になったら】
- 返血を施行。返血後、止血、カテーテル挿入中の患者さんはカテーテル処置を施行します。
透析回路にある血液を患者さんに戻す作業を、返血といいます。返血の時も気が抜けません。一番体の中の水分が少ない状態から血液を戻していくので、血圧が下がってしまい、意識を失ってしまう患者さんも極めてまれにいらっしゃるからです。
【返血後、抜針・止血確認が出来たら。カテーテルの患者は、終了時の処置が終わったら】
- 透析を施行するにはバスキュラーアクセスが必要です。
自分の血管を手術でつなげた、内シャント。血管が細いなど、自分の血管が使用できない場合に人工血管(グラフト)を使用することもあります。心臓の機能低下などにより動脈表在化手術をされた方。さまざまな理由により血管が使用できず、カテーテルを挿入されている方がいらっしゃいます。
止血は、内シャントは10分。
人工血管は15分。
動脈表在化は20分、止血に要します。
カテーテルでは、終了時にカテーテル内が固まってしまわないように、ヘパリンを充填する処置が必要になります。
その後、体重測定し、退室となります。
退室したら終了、ではないです!
- 使用したベッドを改めて、ベッドメイキングをして
- 午後患者さんが使うベッドであれば、準備をして
- 午後の患者さんが入室
と、かなり時間に追われています。入れ替えの時間はどたばたとした部署だと思います。
患者さん寝ているだけの部署でしょ?と、思っていた方もいらっしゃったかもしれませんが、そんなことはありません。透析時間は限られています。透析を無事に終了するために。細やかな配慮と確認、チームの連携が光る部署なのです。
また、当センターには血管内治療の専門医がいるため、IVR科と連携をとり、シャント狭窄や閉塞に対するPTA(経皮的血管形成術)を施行するなど、シャント管理を行っております。
☆IVR科のリンクはこちら
気になられた方はぜひ透析室へお越しください。新たな発見があるかもしれませんよ?