こんにちは。診療看護師(NP)1年目の石嶺と申します。私は2年目の広田さんと同じ沖縄生まれなので、ここ最近の東京の寒さに頭を悩ませております。
東京ベイNP1年目の研修生は私含めて5名居りますが、それぞれ診療科を3ヶ月1タームとして研修をさせてもらっています。3月となり今年度もそろそろ終わりが近づき、2年間の研修も折り返しの時期となりました。みんな毎日がむしゃらに充実した1年間を過ごしてきたと思います。
それぞれ総合内科・腎臓内科・感染症科・救急科・超音波室・地域での研修をして、成長した部分とまだまだ勉強不足を痛感する部分と本当に学びの多い1年間でした。来年度に向けての課題や伸ばしていきたい部分などを明確にして、残りの1年を頑張っていこうと思います。
さて話題は変わりますが、昨年の11月11日〜13日、第8回日本NP学会学術集会が藤田医科大学で開催されました。東京ベイNP室では、1年目NPの学会発表を必須の研修課題としており、今年度の我々1年目NP達も忙しい研修生活の中で準備、発表をしてきましたので、それぞれのテーマと内容を簡単に紹介させていただきます。
第8回日本NP学会学術集会
日程:2022年11月11日(金)~13日(日)
会場:藤田医科大学
公式サイト:https://jsnp2022.jp/

「身体抑制をしている患者さんのせん妄に対して診療看護師(NP)が関わった一例」
発表者:石嶺真博
要旨:
進行性核上麻痺で誤嚥性肺炎を繰り返す為、腸瘻造設の目的で入院となった60代男性。指示動作に従えず胃管の自己抜去を繰り返した為、上肢抑制を実施していたが夜間せん妄が出現した。一時的に末梢静脈栄養に変更、抑制解除し、せん妄は改善した。
NPとして医学知識を持ち、病態を理解した上で患者さんにとって優先させるべきであるものの判断を、適切にアセスメントし個別性を重視した、柔軟性のある介入を行うことで過剰な身体抑制を減少させ、せん妄予防に寄与できた。
「看護師の臨床推論力と自律性、自尊感情の関連性の検討」
発表者:加藤祐子
要旨:
看護師370名を対象に、基本属性、看護師臨床推論力尺度(NCRS)日本語版(1因子)、看護の専門職的自律性測定尺度(5因子)及びRosenberg自尊感情尺度日本語版(1因子)を含めた自記式質問紙調査を行った。Pearsonの積率相関係数を用いて各変数間の相関関係を検証した後、 NCRSを従属変数とした重回帰分析(変数減少法)を行いNCRSに影響を与える要因の検証を行った。
結果はNCRS日本語版と経験年数の間で弱い相関を認め(r=.274、p<.01)、所属(r=.114)、最終学歴 (r=.026)では有意な相関は認めなかった。看護の専門職的自律性測定尺度に関しては第5因子(自律的判断)以外の各下位因子の間には比較的強い相関を認め(r=.548 ~ .693, p<.01)、自尊感情尺度 日本語版との間には弱い相関(r=.366, p<.01)を認めた。
有意な相関を認めた経験年数、看護の専門職的自律性尺度各下位因子、Rosenberg自尊感情尺度を説明変数とした重回帰分析の結果、看護の専門職的自律性尺度の第3因子(具体的判断能力)がNCRS日本語版と有意な関連がみられた (β=.466、p<.001, 自由度調整済みR2=.486)。看護の専門職的自律性尺度第3因子(具体的臨床 判断)が重回帰分析において臨床推論能力に有意に関連していたのは、両者は看護師が問題解決に必要なてがかりを集め、熟考し論証する問題解決過程を表しているためであると考える。
「透析時の血圧低下に診療看護師(NP)が介入した一例」
発表者:康由梨
要旨:
透析間の体重増加量が多く、透析時に血圧低下を繰り返す50代女性に対して診療看護師(NP)が介入し、ドライウエイトの上方修正や透析間の体重増加予防に生活指導をすることで血圧低下は改善された。
NPは、医学的問題に対する介入を医師と協働するだけでなく、看護の視点で患者さんの思いを傾聴し生活への介入を同時に行うことで、患者さんの積極的な行動変容を促すことができる。
「入院を繰り返す難治性喘息患者に診療看護師(NP)が介入した一例」
発表者:瓶井美保
要旨:
症状コントロール目的に入院を繰り返す気管支喘息患者の長期管理に対してNPが介入。生活服薬アドヒアランスは良好ではあったが病状理解が不足しており、同居する家族の協力が得られない状況であることが分かり、家族も含めた生活指導を行うことで行動変容に繋げることができた。
患者さんの想いを傾聴した疾病指導によって患者さんが問題点を認識でき、心的背景を理解した治療介入を行なったことが有効であったと考える。
「誤嚥性肺炎患者へ入院早期にACPを行った一例に関する考察」
発表者:蜂谷真世
要旨:
くも膜下出血の既往があるADL全介助の60歳代男性。入院前には経口摂取が可能であったが入院数日前より食事摂取が進まず、経鼻経管栄養が開始されていたが誤嚥性肺炎になり入院となった。早期にACPを導入しGoal of careの設定、言語聴覚士(ST)介入のもと嚥下評価・訓練を行い、経口摂取で自宅退院できた。
診療看護師(NP)は医学的知識を併せ持つことから、予測される病状経過及や治療内容、期間について把握することが可能である。早期にST介入のもと嚥下機能低下の予防に努め、退院目標を達成することができた。
東京ベイでの過酷な研修期間中に演題登録と発表をすることができたのは、先輩方や先生方から忙しい中でも丁寧に指導してもらい、適切なフィードバックをいただけたお陰だと感じています。また、今回の学会では、NP室の先輩方もシンポジウムに演者として参加されていて、改めて自分たちがハイレベルな施設で研修しているなぁと感じました。
東京ベイNP室は、臨床も研究もやる気があればきちんと指導・サポートしてくれる充実した研修を送れる場所だと改めて実感しました。
以上、今回は1年目NPの学会発表の内容を紹介いたしました。今後も定期的に記事を更新いたしますので、お楽しみいただけると幸いです。
東京ベイでは当院で研修・活動したい診療看護師(NP)を募集しております。病院見学なども行っておりますので、興味を持たれた方は下記のリンクからお気軽にお問合せください。たくさんのお問合せをお待ちしております!
