みなさま、こんにちは。今回担当させていただきます診療看護師室の有阪です。今回は、心不全についてお話ししたいと思います。
慢性心不全で何度も入退院を繰り返している患者さん見かけませんか?私たち診療看護師も、慢性心不全患者さんの再入院を少しでも減らせるよう奮闘しています。心不全で入院してきた患者さんとお話ししていると、
「最近太ったせいか、なんだか歩けなくなっちゃった。」
「足のむくみが気になる。」
「少し動いただけで息苦しくなる。」
「苦しくて横になれない。」
など何らかの異変に気づいてはいるけど、それが心不全の症状だと思っていない患者さんも多いように思います。
現在、世界中で心不全の増加が報告されており、心不全パンデミックと呼ばれる事態が進行しています。そのような状況で、心不全の患者さんとその家族を生活から支えることのできる診療看護師が担える役割は大きいと考え、今回その一部をご紹介いたします。
心不全は悪くなったり、良くなったりを繰り返し、徐々に進行していく病気です。急性増悪時には症状や全身状態がかなり悪くなるにもかかわらず、治療によりほぼベースラインに近いところまで回復するというその経験が、徐々に進行する心不全患者さんの病気への理解を難しくしています。
心不全は、できるだけ早い段階での“予防”ないし“治療”を始めることが有用だと報告されており、日々の生活の中で、患者さん自身が早期に異常に気づくことがとても重要になります。
私たち診療看護師は、急性心不全で(再)入院した患者さんの原因を大きく2つに分けて考えます。医学的要因として病歴や身体所見、検査所見から医学的問題がないか調べ・考え・調整します。患者さんの要因として、食事の味付けによる塩分摂取の過剰はないか、薬の服用アドヒアランスに問題があるのか、嗜好品や生活習慣の問題なのかなど、患者さんとその家族との毎日のコミュニケーションの中からその要因を見つけ出し、その要因へ心不全という病態とともにその患者さんとご家族に合った説明方法でお話していくことが必要だと考えています。患者さんの生活の背景にある要因を見つけ出す技術は、診療看護師が得意とするところなのかもしれません。
このようなやり取りをいつでも患者さんが手に取って改めて見れるようにするために、当センターでは、入院中から心不全手帳をお渡しし、患者さんとその家族、そして私たち医療者を繋げ、一緒にその患者さんのゴールを目指して行けるよう取り組んでいます。