みなさん、こんにちは。東京ベイ・浦安市川医療センターの救急科診療看護師の野呂美香です。
今年の3月に京都で開催された「日本集中治療医学会」で高度実践看護師/APN(Advanced Practice Nurse)の皆さんと話す機会があり、私自身とても刺激になったのでここに紹介させていただきます。
学会をきっかけに情報交換させていただいたのはCNSやCNE、PAMの高度実践看護師のみなさん。
・CNS(専門看護師)
・CNE(クリニカルナースエデュケーター)
・PAN (周麻酔期看護師)
そして私、NP(診療看護師)を含めた高度実践看護師の4人がシンポジウム「高度実践看護師の役割」に登壇させていただきました。
今日のブログ更新では、学会で知り合った4人それぞれの役割や、専門性を高めることになったきっかけ、今後の野望(笑)などをご紹介します。
看護師の専門性について、またAPNの魅力をお伝えできればと思います。
<質問項目>
- 名称
- 業務内容
- 取得しようと思ったきっかけ
- APNとしての強み
CNS(専門看護師) 新山和也さん(埼玉医科大学国際医療センター)

- 名称
急性・重症患者看護専門看護師 - 業務内容
緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるように支援します。役割としては、「実践」、「相談」、「調整」、「倫理調整」、「教育」、「研究」があります。(日本看護協会HPより引用) - 取ろうと思ったきっかけ
元々、ICU(集中治療室)で勤務していたため、救急・集中治療領域の研究に興味をもっており大学院進学を決意しました。
修士論文をまとめ大学院を修了する間際、関連学会などで活躍している専門看護師さんのお話などから、看護師としてまだまだ未熟な自分を客観視することができ、さらに学びを深めようと思い、専門看護師の受験資格が得られる他大学院への履修を決意しました。 - APNとしての強み
専門看護師の強みは、日本においても比較的歴史があるため、①役割などが浸透していることや②マルチな役割を持っていることだと思っています。コアとなる役割は、患者さんや家族に対しての直接的な「実践」ですが、雑多な臨床場面を理論ベースで分析し、患者・家族のQOL向上や最適なアウトカムへと導けることが強みだと考えています。
PAN(周麻酔期看護師) 赤沼裕子さん(聖路加国際病院)

- 名称
PAN 周麻酔期看護師 (聖路加国際大学大学院 周麻酔期看護学上級実践コース修了) - 業務内容
麻酔に関わる術前~中~術後の流れの中で、麻酔科医を中心としたチームの一員として機能し、患者にとって最善の麻酔が施されるように、看護師として麻酔業務を補助する者です。主な役割や目標は「麻酔科医の日常的な診療業務の補助を行う。」「患者の生命維持に関する情報の基本的な評価ができる。」です。 - 取ろうと思ったきっかけ
はじめは特定看護師になろうと考えていました。ですが、当時の麻酔科部長に「一緒に麻酔やってみない?」と、声をかけられたことがきっかけで、職場のOJTで麻酔をかけていました。その後、周麻酔期看護師を養成する聖路加国際大学大学院に進学し、本格的に麻酔を勉強し始めました。大学院修了後は麻酔科所属の看護師となり5年が経過しています。 - APNとしての強み
私達は急性期医療の中でも、超急性期である手術・麻酔領域で活躍する看護師として養成されています。術前評価や手術麻酔、術後疼痛評価、無痛分娩など多岐にわたる業務の中で、医療行為や急変対応、また大学院で習得した科学的思考能力と自らの麻酔経験をもとに、患者に説得力のある説明や指導を行っています。今後は多職種との横断的なコラボレーションを推進し、手術・麻酔を受ける患者に包括的に関わり、安全で質の高い医療が提供できるよう貢献していきたいと思います。
CNE(クリニカルナースエデュケーター) 中村加奈子さん(聖路加国際大学病院)

(聖路加国際大学病院 HPより引用)
- 名称
CNE 「クリニカルナースエデュケーター」と呼ばれている。 (聖路加国際大学大学院 看護教育学上級実践コース 修了生) - 業務内容
臨床に軸足を置く看護教育学のスペシャリスト - なろうと思ったきっかけ
学生⇒新人看護師の移行をスムーズにし、少しでもリアリティショックを減らし、看護実践能力の向上を図りたかったためです。 - APNとしての強み
臨床実習指導及び、継続教育を計画・実施でき、研究成果に基づく看護を教育
臨床実践に導入できることです。
NP (ナースプラクティショナー/診療看護師) 野呂美香(東京ベイ・浦安市川医療センター)

- 名称
NP 「ナースプラクティショナー/診療看護師」 - 業務内容
看護師の資格を軸に、診療に関するより深い医学的知識も兼ね備えて臨床業務を行います。在宅・地域医療から急性期まで、幅広い分野で活動しています。
医師チームと一緒に患者さんの診断や検査、治療方針を決定します。必要に応じて
特定医行為を行います。安全な医療の提供を心がけ、患者さんの身近な存在として、また医師と看護師をはじめとした多職種間の架け橋的存在になれるように日々精進しています。
医療者としての責任が大きく緊張感も感じる毎日ですが、それを上回るやりがいや喜びがあります。医療人としての自分の成長を日々実感できるそんな新しい看護師の形です。 - なろうと思ったきっかけ
看護学だけではなく医学的な側面も学び視野を広げることで、深みのある医療を患者さんやご家族に提供できるのではないかと思ったからです。患者さんを理解する上で、バランスのとれた考えや目線を持ち、多くの選択肢が提供できるように努めています。あとは、看護師としての可能性を広げて看護界を盛り上げたいと思いました。 - APNとしての強み
医師や看護師としての業務の枠にとらわれず、状況に合わせて柔軟に対応できる点が強みの1つだと思います。時に医師と一緒に診療をしたり、看護の視点から日常のケアや退院後のサポートを検討したりと守備範囲が広いところも強みです。医師の治療計画における思考プロセスも理解でき、看護師としての患者さんに寄り添った視点も持ち合わせているので、患者さんに対してより深く全人的な看護が提供できていると考えています。
最後に〜様々な側面から看護のプロフェッショナリズムを究める〜
違う分野で活躍するAPNのみなさんとの出会いを通じて、まだまだ自分が知らない看護師の可能性を感じました。
様々な領域で専門性のある看護師が増えていくことで、より多角的かつ深みのある看護や医療が提供できるのではないかと考えています。
看護師として自分をもっと成長させたい、看護の幅を広げ専門性を磨きたいと考えている方はぜひ一度、APNについて調べてみてください。もちろん私たちに直接相談してくださってもOKです。皆さん一人一人がさらに輝ける看護師としての働き方がきっと見つかると思います。
※写真および紹介文はご本人とその所属病院の許可を頂いた上で掲載させていただいております。